2013 Fiscal Year Research-status Report
言語少数派の子どもをめぐる、地域と学校の連携モデルの構築
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23720262
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐藤 真紀 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 研究院研究員 (60589711)
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Keywords | 年少者日本語教育 / 言語少数派の子ども / 教科・母語・日本語相互育成学習モデル / 学習支援 / 学校 / 地域 |
Research Abstract |
本研究は、年少者日本語教育において、言語少数派の子どもの言語生態保全を実現するために、実践の手立てとなる「地域」と「学校」の連携モデルの構築を目的とするものである。 「地域」と「学校」の連携は、2004年度日本語教育学会春季大会におけるパネルセ ッションにおいても、年少者日本語教育学の課題として共有されている。パネリストらは、近年の言語少数派の子どもをめぐる諸問題に対して、「学校や教師だけでなく、研究者や支援者との連携の中で教育実践を検討していくことが必要となる」「現場の実践的課題の探求を目指し、学校現場や地域の実践家、関連領域の専門家が協働する、実践・研究コミュニティの形成が模索されている」と、連携の必要性を指摘している。しかしながら、その具体的な手立ては明らかになっていない。 そこで、本研究では、言語少数派の子どもをめぐる諸問題を解決し、彼らの言語生態を保全していくことを目指し、学校教員が地域などの外部の協力者と連携して行う教育実践をデザインした。教育実践のフィールドは都内の公立中学校である。そして、当該デザインにおいて、学校と地域の両者が、教育実践の計画、見直し、実施、評価という過程を共有していくことの有効性を検証し、最終的に実践の手立てとなる、汎用性や発展性のある連携モデルの構築を行うことを目指している。 具体的には、【1】連携の実態調査による現状と課題の整理→【2】課題解決に向けた取り組み→【3】「地域・学校連携モデル」の構築という3つの段階に沿って進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、言語少数派の子どもの学習をめぐる「学校」と「地域」の連携モデル構築を目的とする。3ケ年に亘る研究の中で、実践 そのものの枠組みを計画・修正しながら、【1】連携の実態調査による現状と課題の整理→【2】課題解決に向けた取り組み→【3】「地域・学校連携モデル」の構築という3つの段階に沿って進める。初年度(2011年度)は、東京都板橋区にある区立中学校をフィー ルドとし、言語少数派の子ども達の状況調査、実践を行う地域ボランティアチームの組織、学校側とのミーティングを重ねたネットワ ーク作りを行い、言語少数派の子ども達への支援を開始した。支援中のデータは全て参加者の許可を得た上で録音した。続く2年目( 2012年度)以降は、同校にて、前年度に引き続き学習支援データ収集を継続した。中間報告として、第44回お茶の水女子大学日本言語文化学研究会にてポスター発表、第45回同研究会にてポスター発表、2012年世界 日本語教育研究大会にてポスター発表、2012年度秋季日本語教育学会にて口頭発表を行い、研究成果を報告した。しかし、さらにデータ収集及び分析を進める中、主データの対象となる子どもの急な帰国が生じてしまい、計画の見直しが必要となった。そこで、その後研究計画に修正を加え、複数の学習場面のデータ収集を行なうことで、問題解決をはかった。結果、それらのデータ整理及び文字起こし、翻訳作業に更なる時間が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで収集したデータの文字起こし及びその翻訳作業を行なう。そして、その成果を国内外の学会等において発表し、研究精度を高めていく。最終的に、研究成果を実践資料とともに報告書にまとめ、言語少数派の子どもの学習支援に関わる教育機関(中学校)や、年少者日本語教育に関わる機関(大学等)に送付し、成果を広く援用、発展させてもらえるよう、発信していく予定である。同時に、ホームページ等を使って研究成果を幅広く発信し、社会に還元していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主データとなる対象生徒の急な帰国があり、継続的なデータ収集を行なうことができなくなったため、計画の見直しが必要となった。 これまで収集してきたデータ(学習支援約120回分)の文字起こし及び翻訳のため人件費・謝金に多くを費やす。また、残りは最終報告書の作成、成果発信用のホームページの作成に費やす。
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Research Products
(2 results)