2012 Fiscal Year Research-status Report
ライフステージに伴う外国人妻のアイデンティティの変遷
Project/Area Number |
23720263
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
伊藤 孝恵 山梨大学, 留学生センター, 講師 (10348104)
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Keywords | 特になし |
Research Abstract |
平成24年度は、調査対象者2名に対し、WAIに関するインタビュー調査、及びアイデンティティに関するPAC分析を行い、フォローアップインタビューを実施するという当初の計画を実行した。その後、PAC分析、及びインタビュー調査で得られた音声データを文字化した。 前回行った同様の調査結果と比べてみると、被験者Aは、前回は子育てに対する不安と家事・育児に追われる日々に周囲へのストレスを感じていたが、今回はストレスからだいぶ解放された発言とともに、中国人としての自信を意識するようにアイデンティティが変容していた。これは、自動車免許を取得して行動範囲が広がったことと中国語を知人に教え始めたことに起因すると考えられる。 一方被験者Bは、産休・育休を経て前回の職場を退職することを余儀なくされ、今回は子育てをしながらパート勤めをしているといった状況の変化があった。そのため、「中国人」というナショナルアイデンティティは、前回とともに今回も現れたが、社会における言葉(日本語)や文化的な違いにぶち当たっていた前回と比べ、今回は日本文化に溶け込んでいる自分を意識しているアイデンティティへと、緩やかな変容が見られた。一方、周囲から子育てや職場復帰に対する理解や協力が得られないストレスは募っており、子どもが大きくなるまでの数年は現状に我慢するしかないといったあきらめのような発言も聞かれた。 平成25年度は、こうした結果をまとめ、論文として投稿する予定である。それとともに、今後も両者に対する調査を継続し、子どもの成長とともに彼女たちのアイデンティティ、特に母国や日本社会に対する意識がどのように変遷していくのか、追跡していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査は予定通り遂行され、ライフイベント・子どもの成長とともにアイデンティティが変容していく過程が見られる結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2010年にはWAIで上がったアイデンティティについて行ったPAC分析の結果を基に、論文としてまとめているが、今後は、ライフヒストリーや、その後に行った調査結果を加えて論文として発表していく予定である。それとともに、アイデンティティに関する調査を継続し、その変容を追跡していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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