2016 Fiscal Year Annual Research Report
Changes in identities of foreign married women with life stages
Project/Area Number |
23720263
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
伊藤 孝恵 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10348104)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際結婚 / 外国人妻 / ライフイベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本人男性と結婚し日本で暮らす外国人妻の、各ライフイベント時における、自分の結婚や母国に対する認識を中心に、インタビュー調査を重ね、その変化を見てきた。ここでいう「ライフイベント」とは、調査協力者は既に結婚、出産を経験しているため、主に子どもの成長段階や自身の就職を指す。調査協力者は、東アジア出身の女性2名で、それぞれ専業主婦と仕事をもつ母親である。 全体的には、日本に中長期滞在し、周囲が日本人ばかりの環境にあって、自分は日本に馴染んでいるという認識はどの調査時点でももっていた。ただし、日本社会で自分の「居場所」を見い出せない時や、育休による休職やその後の退職に伴う自己喪失感がある時には、日本と母国との習慣や価値観の違いを強く認識し、否定的な感情をもっていた。また、子どもの母親間における子育ての違いや母子間の衝突、子育ての悩みは、日本と母国との差異による帰結であると見なし、自分が日本人とは異なるという認識が浮き彫りとなった。 しかし、このような問題が解決または消滅すると、日本や日本人を再び肯定的に捉えるようになった。特に子どもが進級し、学校のPTAや地域の集まりなどで役員を任されたりするようになり、社会において自分の居場所が感じられると、自分は日本社会に溶け込んでいるという認識を再び抱くようになった。また、休職・退職中は夫の「日本的な女性像」の押し付けに不満が募っていたのが、新たに職に就くことで、「日本人女性とは違う」と改めて自分らしい生き方に気づいた。 いずれの女性も、これからも日本で生きていくことや日本人と付き合っていくことを好意的に受容しつつも、母国に対する意識については両者の間で違いが見られた。
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