2011 Fiscal Year Research-status Report
地域日本語教室における「対話中心の活動」の意義と効果に関する研究
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23720266
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
御舘 久里恵 鳥取大学, 国際交流センター, 講師 (60362901)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 地域日本語教室 / 対話中心の活動 / 生活者としての外国人 / コーディネーター |
Research Abstract |
従来の「学校型」の方法ではなく,「対話中心の活動」を展開している全国3か所の地域日本語教室を尋ね,活動の録音及び「対話中心の活動」を推進しているコーディネーターやボランティアに対する聞き取り調査をおこなった。活動は,各教室とも2~3グループにボイスレコーダーを置いて録音し,同時に活動を観察しながらフィールドノートをつけた。聞き取り調査では,当該教室が「対話中心の活動」を採用するようになった経緯や,教室の活動理念,現状の課題等を半構造化形式で聞き取った。これらの調査データをもとに,大まかな分析をおこなった。 聞き取り調査から,従来の「学校型」の文法積み上げ方式に疑問や限界を感じて「対話中心の活動」を始めた教室と,地域日本語教室のあるべき姿として教室の立ち上げ時から「対話中心の活動」を選択している教室があることがわかった。従来型の方法に疑問を感じて始めた教室には「ゆりもどし」があり,1回の活動のうちの一部の時間を「対話中心の活動」に充てたり,「対話中心の活動」を特別な期間のみの活動としたりしているのに対し,立ち上げ時から「対話中心の活動」を実施している教室は,一貫して「対話中心の活動」のみを続けている。 活動の調査からも両者の違いは明らかであり,「従来型」から移行した教室では,進行役の「説明」が長かったり,ボランティアが「教える」かたちが見られたりしていたが,立ち上げ時から実践している教室では,外国人参加者と日本人参加者(ボランティア)の発話の量や発言権の譲渡も対等におこなわれていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は,交付申請書に記載のとおり,調査と簡単な分析作業をおこなうことができた。相手先の都合により,23年度に調査をおこなえなかった教室が1教室あり,その教室については,24年度の早い段階で調査をおこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,文字化した聞き取り調査のデータをコード化し,共通するテーマを抽出していく。また活動のデータについては,詳細な文字化をおこない,それをもとに活動の形態や構成,相互作用過程を詳細に分析する。そして,「対話中心の活動」をおこなうことの意義と効果,課題を検証し,効果的な実施にあたって必要とされる条件等を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は,予定していたうち,1か所で調査がおこなえなかったため,その調査にかかる旅費等相当分の研究費が残っている。それについては24年度に調査をおこなう際に使用する。 24年度分として配分される研究費は,データの文字化の委託,分析のための参考文献,成果報告のための旅費と印刷費等に使用する。
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