2011 Fiscal Year Research-status Report
複数言語環境で育つ子どもの関係性作りと日本語教育実践の構築に向けた研究
Project/Area Number |
23720274
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾関 史 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授 (00505399)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 年少者日本語教育 / 関係性 / 複数言語環境 / 日本語教育実践 / 外国人児童生徒 / 帰国生 / 国際結婚家庭の子ども |
Research Abstract |
本研究は、複数の言語文化背景を持ちながら成長してきた子どもたちに対する日本語教育を周囲との関係性作りの視点から構想することを目的とし、2年間の調査研究活動を通して、次の3点について明らかにすることを目指している。1.複数言語環境で育つ子どもたち(若者)は、周囲とどのような関係性を築きながら言語学習をしているのか(してきたのか)、2.複数言語環境で育つ子どもたちおよび若者に対する日本語教育実践は関係性作りの視点からどのようにデザインできるか、3.関係性作りの視点からデザインされた日本語教育実践の中で、どのような学びが育まれるのか平成23年度は、複数言語環境で育つ子どもたちの関係性の中での学びの実態を明らかにすることを目的とし、以下の3点を実施した。1.複数言語環境で育った子どもたち(若者)の関係性作りのプロセスおよび日本語学習のプロセスを把握するため、国内および海外在住の外国籍児童生徒、帰国生、国際結婚家庭の子どもおよびその親、留学生・大学生ら計12名にインタビューを行った。なお、インタビューでは以下の内容を中心に、これまでの言語学習経験について語ってもらった。1)教師、支援者、クラスメートなどの「周囲の人々」とどのような関係を築きながら日本語を学んできたのか、2)日本語学習や教科学習といった「学習素材」とどのように向き合いながら学びを進めてきたか、3)「自分自身」や「日本社会(現地社会)」との関係の中でどのようにことばの学びを捉え、ことばを学んできたのか。2.関係性作りに注目した実践を行っている海外の言語教育機関(韓国およびタイ)の視察および現地教育関係者との意見交流を行った。3.本年度の調査研究から得られた知見をまとめ、学会・研究会で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災等の影響により、今年度、予定していた国内の言語教育機関の視察が出来なかった。来年度、機関との予定を調整のうえ、可能な範囲で視察を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を踏まえたうえで、関係性づくりに焦点をあてた日本語教育実践をデザインし、それらの実践における学びの様子を考察していきたい。また、前年度、実施できなかった国内の言語教育機関の視察も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の目的に向けて、平成24年度は以下の3点について調査研究活動を実施する予定である。1.国内の言語教育機関の視察:関係性作りに注目した実践を行っている国内の言語教育機関の視察および現地教育関係者との意見交流を行う。2.関係性づくりに焦点を当てた日本語教育実践のデザイン:留学生向けの日本語授業において、関係性に焦点を当てた授業をデザインし、実施する。また、複数言語環境で育つ子どもたちおよび若者に向けた「関係性作りに焦点を当てた日本語支援プログラム」の構築に向けた検討を行う。3.授業における日本語学習プロセスの分析、考察:1.でデザインした日本語授業および日本語支援プログラムを実施しながら、教育実践における学生たち・子どもたちの日本語学習の様子を分析し、考察する。4.研究成果の公表:2年間の調査研究活動から得られた知見をまとめ、国内外の学会等で口頭発表および研究論文として公表する。
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