2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720285
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
PINTER Gabor 神戸大学, 国際コミュニケーションセンター, 准教授 (30580691)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | eラーニング / コンピュータ支援学習 / 音声訓練 / 語学 / 国際情報交流 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、外国語教育において学生に英語の発音を訓練させるために必要なソフトウェアー技術、例えば音声録音、データの保存、評価とフィードバックといった教員と学生の音声データのやりとりを可能とするオープンソースのシステムの開発を目標としている。初年度の目標は 開発に必要なITインフラストラクチャーの整備、および音声のやりとりに必要なコア技術を有するプラットフォームを立ち上げることであった。(1)開発用のパソコン、ウェブサーバとデータベースサーバ、プリンタ、アシスタント用のパソコンなどの備品を購入し、代表者の研究室に設置したことによって、プログラミング開発の環境が整備され、プラットフォームのハードウェ的なの条件が整えた。(2)ネット上の音声交換サービスの開発の第一歩として、ネットワークコンネクションを使用しない音声収集プログラムの開発を行った。このプログラムは2011年度後期(10月~2月)に神戸大学で開講された学部1-2年生向けの英語の授業で使用した。使用回数を重ねながら、課題の種類を増やし、また課題に合わせたコンテンツも増やした。また、音声収集プログラムの開発と並行して、音声データを管理するデータベースを設計した。このシステムにより、約200時間の音声データを収集することに成功した。更なる開発のために、パイロットデータとして、収集したデータの約10時間分をティーチングアシスタントに「書き起こし」させた。2011年度末には、データをネット上で交換できるようにシステムをさらに改善した(3)開発に伴う問題について 主にDresden工学大学の Oliver Jokisch 博士と相談した。さらに、音声学、音韻論とeラーニングをテーマとする学会に参加することで、音声教育とソフトウェア開発のテーマについて、各分野の専門家と意見を交換することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であったシステムの枠組みは概ね完成した。インターネット上で教員と学生が音声データをやりとりする機能は、技術的な問題のため、全て完成することはできなかった。しかし、オフラインモードでも動くシステムを完成しましたことによって、2011年度神戸大学における秋学期の授業で実際に使用することができた。同大学のCALL室で行われた授業では、約150人の日本人英語学習者から200時間以上の音声データを収集することができた。オフラインシステムは、学習者のPCをコントロールできるCALL室のような環境で使用することが可能であるが、サーバおよびネットワークに問題がある場合には、代替システムとしても使えるものである。インターネット上のデータ交換機能の開発が予定より少し遅れた理由は、 複数のプラットフォーム(Windows、 MacOSなど)で音声の再生と録音ができるオープンソースソフトウェア(LWJGL)をインターネット上で動かすことが、計画していた以上に手間がかかる作業だったからである。しかし、この問題も、年度内には解決した。 開発中のプログラムを実際の大学の英語の授業で使用することによって、大人数で使用する場合の動作確認とユーザビリティテストを行うことができ、デバグと機能改善の作業も大幅に進んだ。また、発音訓練用のコンテンツも計画以上に作成できた。以上のように音声データを収集するクライアント側のプログラム、データベースの構築、ウェブサーバーとデータベースサーバ間のデータ通信が整備されたため、初年度の達成度は全体的に「おおむね順調に進展している」と言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の目標はユーザビリティの改善である。現在のシステムは実際の授業で使われても、現時点では技術的なスキルが要求され、一般ユーザは便利にこなせない。そのために今後は、ユーザビリティに重点を置いて、一般ユーザ(教員)も使える、より使いやすい音声訓練プログラムの開発を目標とする。具体的には、教員がウェブ上に課題をアップロードして、ウェブで公開し、学生はその公開された課題にアクセスして、ウェブ上で課題に取り込むことで、学生の音声はサーバーに保存されるというシステムが構築されるのである。音声編集も含むコンテンツ作成と多量の音声データの評価は処理に時間がかかるので、音声編集プログラムと同様に(初年度完成済)、Java言語で開発する予定である。 ユーザビリティにかんしては、ソフトウェア開発にとどまらず、ユーザサポートにも重点を置き、ユーザ(教員と学習者の双方)からプログラムについてフィードバックを集め、継続的にプログラムを改善していく予定である。初心者のためにシステムの使い方を紹介する日本語のチュートリアルや FAQ も作成する予定である。くわえて、プロジェクトのアシスタントを雇用し、そのアシスタントからもフィードバックをもれって、ユーザビリティに関する諸問題を解決することを試みる。それから、同大学の教員向けにシステムを公開する。 2012年度の秋に、Dresden工学大学の Oliver Jokisch 博士を同大学に招聘し、システムの全体的なフィードバックをもらい、最終年度に構築する予定の音声認システムの準備についても意見交換する。技術的な条件が整えば、同博士研究室の撥音矯正システム「AzAr」の一部の機能を本プロジェクトで作るソフトウェアーに取り入れる作業も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算の使用に関して最も大きな項目は(1)海外協力者Oliver Jokisch博士の同大学への招聘、(2)プロジェクト代表者の海外学会 (Interspeech 2012、 Oregon、 米国)と国内学会(音韻論フォーラム、Japanese/Korean Linguistics Conference、日本音声学会第26回全国大会)への参加、(3)システムの機能と使い方をデモできる発表用のノートパソコンの購入、(4)練習問題(コンテンツ)の開発及びユーザーサポートの一部を担当するアシスタントの雇用。また、プログラムの開発及びサーバーの管理するために必要なソフトウェアーと参考書、ユーザーサポートを提供するホームページを構築するために必要なソフトウェア、プリンターのインクやパソコン関連消耗品などに関わる出費も次年度の予算で対応する予定である。
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Research Products
(2 results)