2011 Fiscal Year Research-status Report
小学校における日本人英語指導者対象の研修内容の効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
23720298
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松永 舞 近畿大学, 経済学部, 准教授 (30351571)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 小学校英語活動 / 指導力育成 |
Research Abstract |
2011年度より小学校5・6年生の週1回の外国語活動が必修化し、主な指導者である学級担任を対象とした研修が行われてきたが、研修によって得られる効果を評価する具体的な検証は行われていない。そこで本研究は小学校英語指導者にとって実証的裏付けのある効果的な研修内容と方法を提示することを最終目的とし、英語教師を目指す教職課程の大学生を被験者として、指導力・英語力育成に効果的な研修内容・方法の検証を行う。研究1年目である本年度は指導力に焦点を当て、その中でも研修項目として頻繁にあがる「ゲームの指導方法」をとりあげ、教職課程の同一科目2クラスを被験者とし、30分程度の実践練習を3回授業に組み込み、インタビュー形式の同一プリ・ポストテスト(練習と異なる2つのゲーム活動の実践、10分程度)を行い、練習の成果を測定した。2クラスは練習回数、時間、および使用したゲーム活動は同じであったが、練習方法が異なり、1グループは担当教員のデモンストレーションに児童役として参加する受動的練習方法、もう一方のグループは被験者自身がゲーム活動を実演する能動的練習方法であった。結果として両グループともテスト結果に有意な伸びがみられ、さらに受動的練習グループの方が能動的グループと比較して有意な伸びがみられた。このことは、英語指導に不慣れな指導者の場合、やみくもに実演練習を行うよりも、適切な指導モデルを真似することから始める方がゲームの指導力向上に有効であることを示した。また、英語力の違いによるテスト結果の差は見られなかった。これらの結果は指導力向上の研修において、適切なモデルを示す必要性と、英語力にかかわらず実践練習を行うことが指導力育成につながることを示しており、今後の研修の際の実施方法・内容に示唆を与えるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施予定であった実験、学会発表、論文投稿などをすべて行ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2年目は、当初の予定通り、小学校英語指導者の英語力向上のための研修に焦点を当て、その中でも「教室英語習得」をとりあげたい。被験者は1年目同様大学教職課程の2クラスとし、異なる練習方法を用いて教室英語練習の効果を検証する予定である。また、2年間の研究で得られた結果を学会および論文として発表する予定である。学会発表に関しては研究内容が日本の小学校英語教育関連のため、当初予定していた海外での学会発表には特にこだわらずに、国内での学会発表も積極的に視野に入れたいと思う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度利息として残金が発生したのでその分は次年度に物品費として使用する予定である。次年度の研究費は、実験に関わる物品費、実験における研究協力者への謝金、学会発表の旅費に使用する予定である。
|