2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720299
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
橋本 健一 近畿大学, 農学部, 講師 (20581036)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 文理解 / 動詞句省略文 / Cross-modal priming task / 日本人英語学習者 |
Research Abstract |
本研究では、英語の動詞句省略文を、初級レベルの日本人英語学習者がどのように理解しているか、あるいはどの程度理解できているかを調べることを目的としている。英語の動詞句省略文では、省略部分において動詞句の再構築処理が必要であり、表層的な単語の意味を基にした文理解処理に依存しやすい初級レベルの英語学習者にとっては、難度の高い文のタイプと考えられる。本研究は、母語話者との比較で、初級レベルの日本人英語学習者が、動詞句省略文をどのように理解しようとしているのかを、オンライン実験を通してより詳しく検討することにより、初級レベル英語学習者の文理解プロセスのさらなる解明を目指している。また、そこで得られた理論的知見を基にして、どのような文法・リーディング・リスニング指導を行えばよいかという、外国語教育諸分野への貢献も期待される。 平成23年度は、研究実施計画に基づき、第1段階の質問紙調査と、第2段階のCross-modal priming taskの一部を実施した。質問紙調査については、英語標準テストの1つであるG-TELPのLevel 3の成績との比較を行い、オフライン環境で英語動詞句省略文を理解するにはどの程度の英語力が必要かを調べた。その結果、G-TELP Level 3で190点前後、TOEFL-PBTに換算して380点前後の学生は、それより習熟度が低い学習者と比較して、動詞句省略文を文法的により正しく理解できる傾向が見られた。また、2011年7月には、オーストラリアのThe University of Queenslandで、Cross-modal priming taskの予備実験を行い、英語母語話者8名からデータを取ることができた。実験実施上の問題点や、実験アイテムの追加などに時間を要したため、日本人英語学習者を対象とした実験実施にはまだ至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、平成23年度中に質問紙調査とCross-modal priming taskを実施する予定であったが、日本人英語学習者を対象としたCross-modal priming taskの実施が開始できていない。これは、2011年7月に実施した英語母語話者対象の同タスクにおいて、実験実施上の問題点や、アイテム追加の可能性が浮上したためである。また、実験参加対象となる大学生が、試験期間、及び長期休暇に入り、参加を呼び掛けられなかったことも、遅れの一因となっている。これらの問題の多くはおおむね解消しており、2012年5月には、日本人英語学習者を対象とした実験を開始して、早いうちに研究計画の第3段階(外国語文理解に関する諸要因の検討)に移る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験協力者への呼びかけは、平成23年度中にも始めており、実験機器・ファイルの再調整、実験協力者とのスケジュール調整が済み次第、実験をスタートする予定である。対象となる学生は、すでに全員がG-TELPテストを受験しており、英語習熟度に関するデータは取得済みである。また、研究の第3段階については、7月~9月をめどに実施予定であり、そこに参加してもらう実験協力者のリクルートも、同時並行で行っていく。10月以降は、本研究の成果をまとめる作業に入っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表(米国) 300,000円IBM SPSS Statistics (Base & Advanced) 164,000円心理実験ソフトSuperLab 4.5 Bundle A for Mac 120,750円印刷費 15,250円
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Research Products
(1 results)