2011 Fiscal Year Research-status Report
被爆者の英語による証言の理解と伝達の追跡調査-情報と解釈の変化の分析-
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23720301
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
大場 美和子 広島女学院大学, 文学部, 准教授 (50454872)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 異文化間コミュニケーション / 伝達の会話 / 追跡調査 / 会話・談話分析 / 英語 / 被爆証言 / 国際情報交流 / 米国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、広島において、被爆者が外国人を対象に英語によって証言を行う平和学習活動に着目し、被爆証言を外国人がどのように受容して理解しているのかという(1)被爆証言の理解の実態、受容した被爆証言を帰国後にどのように他者に伝えているのかという(2)被爆証言の伝達の実態を明らかにすることである。本年度は、1)被爆証言のデータ収集、証言の聞き手である米国人学生に対し、2)追跡アンケート調査、3)証言の伝達の場面の会話データ収集調査を行った。まず、1)被爆証言のデータから被爆証言における言及内容を分類し、2)追跡アンケート調査の質問項目を作成した。次に、2)追跡アンケート調査では、米国人学生に対し、帰国後に自由記述形式のアンケート調査を行い、被爆証言の内容の理解の実態を探った。さらに、3)証言の伝達の場面の会話データ収集調査では、米国人学生が友人に対して被爆証言の内容を自由に話す会話を米国大学にて録音・録画により収集し、被爆証言の伝達の会話の特徴を探った。分析の結果、まず、1)をもとにした2)追跡アンケート調査では、事実関係の詳細についてはずれもあったものの、証言内容が全体的に理解されている点が確認された。次に、3) 証言の伝達の場面の会話の調査では、証言の聞き手が関心をもった内容について、会話相手からの関連する話題の情報提供や質問を利用し、曖昧な情報には解釈を加えつつ、話題を展開させて話している様子が明らかとなった。米国人学生を対象に、英語による被爆証言の理解と伝達の実態を二種類の追跡調査のデータから具体的に探った点、今後の追跡調査のプロセスの基礎作りを行った点に、本年度の研究成果の意義が指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1)被爆証言のデータ収集、英語による被爆証言の聞き手である米国人学生に対し、2)追跡アンケート調査、3)証言の伝達の場面の会話データ収集調査を行い、特に、2)3)の追跡調査より、米国人学生の理解と伝達の特徴を分析し、次年度の本調査のプロセスの基礎作りができたといえる。なお、米国滞在時間が限られたことから、米国人学生に対する個別インタビューが実施できなかった点が当初の計画とは異なったが、追跡アンケート調査に変更することで対応した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の二種類の追跡調査の分析をもとに、今後は本調査として同様のデータの収集を行ってデータ数を増やし、英語による被爆証言の理解と伝達の特徴について量的な分析とその考察を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
米国人学生に対する個別インタビューを追跡アンケート調査に変更したことから、文字化作業の謝金が予定より少額となった。次年度もインタビューではなくアンケート調査を行う予定であるため、謝金は今年度と同程度の支出とし、追跡調査のデータ数を増やすために必要となる物品費に使用する。
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Research Products
(1 results)