2012 Fiscal Year Research-status Report
被爆者の英語による証言の理解と伝達の追跡調査-情報と解釈の変化の分析-
Project/Area Number |
23720301
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
大場 美和子 広島女学院大学, 文学部, 准教授 (50454872)
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Keywords | 異文化間コミュニケーション / 伝達の会話 / 追跡調査 / 会話・談話分析 / 英語 / 被爆証言 / 国際情報交換 / 米国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、広島において、被爆者が外国人を対象に英語によって証言を行う平和学習活動に着目し、被爆証言を外国人がどのように聞いて理解しているのかという(1)被爆証言の理解の実態、聞いた被爆証言を帰国後にどのように他者に伝えているのかという(2)被爆証言の伝達の実態を明らかにすることである。 本年度は、昨年度の調査をふまえ、1)被爆証言のデータ収集、聞き手の米国人学生に対する2)追跡アンケート調査、3)証言の伝達の場面の会話データ収集の本調査を行った。特に、1)被爆証言と3)伝達の会話のデータの比較から、米国人学生による伝達の会話の特徴を探った。 分析では、1)被爆証言と3) 伝達の会話のそれぞれのデータにおける言及内容(話題)の分類を行った。オリジナルの1)被爆証言と米国人学生によって伝えられた3)伝達の会話では何が話されているのか、どのような特徴があるのか、その話されている話題に1)被爆証言と3)伝達の会話とでは違いがあるのかを探るためである。 1)被爆証言と3) 伝達の会話における言及内容の比較から、まず、伝達の会話においてほぼ言及される話題の情報とあまり言及されない話題の情報がある点を明らかにした。さらに、その話題への言及のしかたの特徴として、被爆証言における情報が減少したり消滅したりするだけでなく、逆に米国人学生によって詳細化されたり、物語が再構成されたりする現象もある点を明らかにした。 1)被爆証言と3) 伝達の会話における言及内容とその言及のしかたの特徴について、会話データから具体的に比較した点に本年度の分析の意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、被爆証言ならびにその聞き手の米国人学生に対する二種類の追跡調査(アンケート調査、会話調査)によるデータを収集すると同時に、昨年度に収集したデータの分析結果を学会・研究会にて報告を行った。 追跡調査が2月後半であったために会話調査の文字化作業が年度内に全ては行えなかったが、これを2013年度のはじめに行って、データの量的分析につなげる。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年2月に収集した本調査の伝達の会話の文字化作業を進め、英語による被爆証言の伝達の会話の特徴について量的な分析を進める。 さらに、これまでの分析をもとに、平和学習活動の事前授業において研究成果を利用した活動を試みる。可能であればこの授業活動の分析も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年2月に収集した伝達の会話の文字化作業ならびに分析作業の効率をあげるために謝金を使用する。 分析結果の報告ならびに授業実践の分析に関わる物品の購入と旅費を使用する。
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