2013 Fiscal Year Annual Research Report
ボトムアップ式の言語習得概念の英語教育への応用可能性に関する実証的研究
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23720308
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
藤井 数馬 沼津工業高等専門学校, 教養科, 准教授 (50413779)
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Keywords | コア / ボトムアップ / 英語教育 / 協同学習 |
Research Abstract |
本研究では、認知言語学の知見を背景にして主張されるコアを用いたアプローチが、英語教育でどのような影響を与えるかについて理論的基盤を整備しながら実証的に研究を進めてきた。研究1年目に行ったことは、コアを用いたアプローチが持つ有用点と考慮すべき点を、参考文献やこれまでの実践研究などから整理をしたことと、前置詞のコアを用いて対照実験を行ったことである。有用点と考慮すべき点の整理は、本研究を健全に遂行するために実践研究と並行してその後も取り組むことになるもので、研究期間の三年間で精緻化できた。一方の対照実験では、高専4年生を対象にコア図式を先に提示して例文を示してイメージ化をはかるトップダウングループと、先に例文の提示を行ってからコア図式を提示するボトムアップグループ間で行ったが、両グループ間で顕著な差は見られなかった。 研究2年目には、研究1年目の結果からボトムアップ式の言語習得を英語教育に応用する場合、例文を先に提示するだけでは不十分であることが分かったため、ボトムアップグループには例文の提示の後、さらに3~5人のグループを作り例文を見ながらその共通項として浮かび上がってくるコアを考えさせ紙に書かせる活動を入れた。この結果、ボトムアップグループがいくつかの前置詞の用法においては統計上有意に良い結果となったが、全体としては顕著な差は見られなかった。研究3年目には、ボトムアップグループに例文の提示、協同学習方式の導入の後にさらに黒板に書かせてクラスにイメージを共有させるアプローチをとったが、これも全体の意味の定着の点において有意差は見られなかった。コア図式への学習者の印象はかなり良く大きな可能性を秘めているのは確かであるが、これをボトムアップ式の言語習得概念になるべく即しながら有効に活用するためには手順が必要であり、教育的な健全性の中でどこまで考えていくべきかが問われる示唆を得た。
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Research Products
(5 results)