2012 Fiscal Year Research-status Report
「コミュニスト」の創造:コミンテルン期における共産主義者形成過程の国際史学的考察
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23720309
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
瀧口 順也 龍谷大学, 国際文化学部, 講師 (10596802)
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Keywords | 共産主義 / 20世紀史 / グローバル・ヒストリー |
Research Abstract |
平成24年度は前年度に引き続いてイギリス共産党に関連する資料の収集と、新たにコミンテルン大会に関する資料の収集を中心に進めた。 イギリス共産党に関連する資料としては、ブダペストにあるOpen Society Archives に赴きイギリス共産党アーカイヴ史料を集中的に閲覧した。これらのほとんどは、モスクワのロシア社会・政治史アーカイヴに所蔵されている資料のコピーであり、本研究に関しては必要不可欠のものである。イギリス共産党内部の政治状況を明らかにするものも多く、昨年度の予備調査とあわせてかなりの部分を収集することができた。 コミンテルン大会については、北海道大学スラブ研究センターにマイクロフィッシュで所蔵されているものを渉猟した。今回の調査では、結成初期のコミンテルン大会に焦点を合わせ第一回(1919)~第四回大会(1922)の史料を網羅的に収集し持ち帰ることができた。これらの史料を中心に、今後モスクワと各国共産党の関係性を明らかにしていく。 また、入手困難とされている1930年代までにヨーロッパ各地で刊行された共産主義宣伝のためのパンフレットを集めたマイクロフィルムを購入した。これにより、ヨーロッパ各地における共産主義イメージの宣伝のかなりの部分を把握することが可能になった。 研究成果としては、1930年代のロシア共産党大会に関する論文の公刊と、初期ソ連体制の権力表象を考察する研究会報告を行った。研究報告については、ロシア・東欧地域以外を専門する研究者が集まる場での報告であり、より幅広い文脈からコミンテルンおよびロシア共産党史をとらえる知見を養うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度目から本格化させる予定であったアーカイヴ史料の収集を着実に行うことができている。また、研究テーマに関するより幅広い視野からの考察を目的とした比較の視点を獲得する機会を十分に確保することができた。1920年代後半以降のコミンテルン関係資料および日本共産党に関する資料については、来年度以降に本格化させる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に引き続き、アーカイヴ史料の収集を集中して行う。とりわけ、24年度に完遂できなかったコミンテルン大会関連資料の収集と、日本共産党に関する調査を開始させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度も数回に渡るアーカイヴおよび研究所での資料収集を予定しており、大方は渡航費用に使用される見込みである。24年度同様に、可能なものについては、マイクロフィルムの購入やドキュメント・コレクションの購入などを行い補完する
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Research Products
(2 results)