2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720316
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長谷川 亮一 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 特別研究員 (70571628)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 日本近現代史 / 南進論 / 領土問題 / ミクロネシア / 小笠原諸島 / 沖縄 |
Research Abstract |
本研究の目的は、主として明治期後半(1880~1910年代)の日本人の「南方」島嶼(小笠原諸島、ミクロネシア、北西ハワイ諸島、台湾周辺の小島嶼など)への進出と関与の実態を、主として公文書および新聞・雑誌記事などの同時代史料により明らかにすることである。 研究の初年度にあたる2011年度においては、以下の作業を実施した。1. 国立国会図書館、東京都公文書館等の関連資料を有する機関において実地調査を行い、日本人の小笠原・沖縄周辺の小島嶼開拓についての関連史料の収集を実施した。特に、明治期から昭和初期にかけての雑誌に掲載された文献についての収集を進めた。さらに、収集した史料を画像データ化し、電子データベースの構築を行った。2. 本テーマに直接かかわる分野において、すでに積み重ねてきた研究成果についての単著を公刊した。日本人による小笠原・沖縄周辺の小島嶼開拓と、無主地先占論に基づく小島嶼(大東諸島、火山列島、尖閣諸島、南鳥島、竹島、中ノ鳥島=不存在、等)の日本領編入についての通史的整理を行った。特に、これらの島々の開拓は、基本的にはいずれもリン鉱石やアホウドリなどの資源獲得を目的とした投機的事業に基づくものであり、それが実在の島嶼のみならず、存否の不確実な島嶼(グランパス島、イキマ島など)の探索や、果ては実在しない島嶼(中ノ鳥島)の「領土編入」(1908年)という事態すら引き起こすに至ったこと、また、領有権を確定した日本政府の側も、領土編入が将来的にもたらす結果について十分に検討していなかったことを指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年9月より1年間、海外(中国)に一時的に赴任する、という当初計画の段階で想定しなかった事情が生じ、それに伴う各種作業のため、当初計画より当該研究に割くことが可能なエフォートが減少したこと、及び、当初計画において予定していた調査活動の一部が、2011年度内に実行できなくなったことによる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年9月より1年間、海外(中国)に一時赴任するという、当初計画の段階で想定していなかった事情が生じたため、当初計画において予定していた調査活動の一部が2011年度内に実施できなくなったことにより、次年度(2012年度)使用額が発生した。2012年度においては、前年度に実施できなかった史料調査・収集を実施するとともに、史料の整理および研究の整理を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に実施できなかった分を含めた新たな史料調査・収集を実施する。また、必要が生じた場合は、小笠原・沖縄・九州方面等への実地調査を行う。
|
Research Products
(1 results)