2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 日伊交流史 / 幕末・明治初期 / 駐日イタリア公使 / 日伊外交・貿易関係 / 蚕種商人 / 海軍少尉カルロ・グリッロ |
Research Abstract |
第一に、1868(明治元)年に新潟を訪れたと見られるイタリア人蚕種商人およびこの一件に関してイタリア公使の立場を明らかにする非常に興味深い一次史料を発見したため、平成23年5月15日に、「近世史フォーラム」の例会に「新潟の開港と駐日イタリア外交官(1868年)」というタイトルの口頭発表を行うことができた。その際に得た様々なアドバイスを生かせ、この一件に関する学術論文を執筆した。この論文のタイトルは「外交史研究の新視点―一八六八年の新潟開港問題と駐日伊太利亜外交官―」であり、平成24年10月に法政大学出版局が刊行する『歴史研究の姿勢』に収録される予定である。第二に、平成23年の夏は、幕末・明治初期における日伊外交・貿易関係に関する学術書の刊行に向けて、主に歴史・文学の専門書を主に扱う大阪の出版社(清文堂出版)との交渉が成功した。学術書は平成25年の秋に刊行される見込みである。執筆活動は予定よりやや遅れている。第三に、平成22年10月のイタリア学会にて発表した「「神戸事件」とイタリア(1868年)-瀧善三郎の「ハラキリ」を目撃するイタリア人ピエトロ・サヴィオの報告書を中心に-」を学術論文という形で、平成23年10月に刊行された「イタリア学会誌」に掲載できた。最後に、平成23年12月22日から平成24年1月4日にかけて、イタリア(トリノ、ボローニャ)で幕末・明治初期に関する日伊交流史に関する数々の史料および珍しい書籍を収集することができた。また、トリノで、1871-72年にイタリア王国海軍のコルヴェット艦「ヴェットール・ピザーニ号」で来日した海軍少尉カルロ・グリッロの末裔フェデリーコ・グリッロ氏に一度面会でき、カルロ・グリッロの生まれた環境や、彼が遺した書簡に関する貴重な情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在はイタリアおよび日本で収集した一次史料や刊行物を分析しながら、博士論文で始まった幕末・明治初期における日伊外交・貿易史を中心とした研究活動を進めている。同時に、幕末・明治初期における日伊外交・貿易史に関する学術書の執筆活動に着手しているところである。また、イタリアで明治初期に日本を訪れたイタリア海軍少尉カルロ・グリッロ及びその書簡に関する情報(史料や文献)は多く手に入れることができたが、更なる調査が必要だと考えられる。新しく発見した文献や資料の分析は予想以上の時間を要するため、専門書の執筆およびカルロ・グリッロが遺した書簡に関する論文の執筆活動は若干遅れるのであろう。以上の理由に基づき、「研究の目的」の達成度を「やや遅れている」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に幕末・明治初期における日伊外交・貿易史を中心とした学術書の執筆活動に専念したい。そのため、更なる史料調査を目的とした国内旅行(東京、群馬など)を行う予定である。 同時に、カルロ・グリッロ及びその日本からの書簡に関する更なるデータを入手するために、再度イタリアのトリノやアレッサンドリアを訪れる予定である。十分に情報が集まったら、第一に、カルロ・グリッロとその書簡に関する学術発表を行い、その際に得た質問や助言を活用し、発表で扱った内容を学術論文にまとめたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は、申請書に書いている通り、ほとんど史料収集を目的とした国内旅行、そして海外旅行に当てる予定である。
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Research Products
(4 results)