2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720326
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
近藤 祐介 学習院大学, 文学部, 助教 (40578689)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 修験道本山派 / 聖護院門跡 / 山伏 |
Research Abstract |
本研究は修験道本山派の成立過程とその地域的展開を追究することを目的に、(1)門跡と院家を中核とした中央組織の変遷、(2)〈頭山伏〉を中核とした在地山伏集団(地方組織)の形成過程、という二つの視角からアプローチを試みる。 本年度は本研究の軸である『聖護院文書』の調査・複写を行った。『聖護院文書』は聖護院古文書調査室によって調査・整理が行われている最中であり、その大部分が未翻刻・未紹介の史料群である。中世史料も比較的多く残されており、その学術的価値は極めて高い。調査は聖護院古文書調査室長である首藤善樹氏の協力のもと行った。『山岳修験』掲載の目録をもとに『聖護院文書』の全体像の調査と把握から始めた。その後、中世史料の多く含まれている81箱~86箱の複写を進め、これを終了した。今後さらに、中世史料を優先的に調査・複写を行っていく予定である。 また、〈頭山伏〉概念の提示のために関東・東北域の自治体史などを中心に史料の収集・分析を行った。これにより、〈頭山伏〉と同行山伏との関係などが具体的に明らかになり、その実態を深めることができると同時に、地方の山岳霊山と〈頭山伏〉の関係性の解明などの新たな課題を見つけることもできた。 さらに、史料の分析から〈頭山伏〉と聖護院門跡の関係を見るうえで、年行事職という新たな「職」の登場が重要な役割を果たしていたことも明らかとなった。今後は年行事職を媒介として両者が結びつく歴史的背景に踏み込んで検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、『聖護院文書』の調査および複写を進めることができた。その過程で、聖護院古文書調査室長の首藤善樹氏から『聖護院文書』についてのさまざまな教示を得ることができたことは大きな収穫であった。複写した『聖護院文書』については現在分類の上翻刻作業を進めている最中である。 在地の史料については、関東・東北域の県史をはじめとした自治体史の総めくり作業を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して『聖護院文書』の調査・複写作業を進めていく予定である。『聖護院文書』の調査を効率よく行ってくために、大学院生数名に調査補助員として参加してもらう予定である(内諾済)。また、京大古文書室に所蔵されている『聖護院若王子記録』という史料の閲覧も行う予定である。これらの収集した史料をアルバイトとともに整理し、翻刻を進めていく。 また、自治体史の総めくり作業については、関東・東北域の県史が終わり次第、市史・町史へと移行し総めくり作業を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
『聖護院文書』の調査(三重県伊賀市)は私と調査補助員3名の計4名で、2泊3日の予定で行う。費用として20万円程度を見込んでいる。京大古文書室の調査は2泊3日で5万円程度を見込んでいる。これらの調査費用を「旅費」として25万円計上している。また、これと関連して史料整理のアルバイトを雇う予定であり、そのアルバイト代を「謝金」として6万円計上している。 「消耗品代」としては日本中世史研究書・史料集代として10万円を計上している。 「その他」として、論文などの抜き刷り代として4万円、史料などの複写代として5万円、合わせて9万円を計上している。
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