2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720326
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
近藤 祐介 学習院大学, 文学部, 助教 (40578689)
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Keywords | 修験道 / 本山派 / 聖護院門跡 |
Research Abstract |
本研究は修験道本山派の成立過程とその地域的展開を追究することを目的に、①門跡と院家を中核とした中央組織の変遷、②〈頭山伏〉を中核とした在地山伏集団(地方組織)の形成過程、という二つの視角からアプローチを試みた。 本年度も昨年度に引き続き、聖護院および聖護院古文書室のご協力のもと『聖護院文書』の調査及び複写を行った。今年度は『本山修験』に掲載された『聖護院文書』目録をすべて入手し、これをもとに事前に中世文書のピックアップ作業を行い、そのうえで、76・77、89箱の複写作業を完了した。 複写を終えた史料は現在、整理分類作業を行っており、これが終了した史料から順次翻刻などを行っていく予定である。こうした調査の過程で得た知見をもとに、これまで研究の手薄であった鎌倉末~室町初期における聖護院門跡の動向を法流や武家祈祷との関係から検討した。この研究成果については、「一四世紀における武家祈祷と寺門派門跡」(『学習院史学』51号、2013年)として発表ている。 また、昨年度から引き続き自治体史の史料収集・分析を行い、年行事職という新たな「職」が戦国期に登場する歴史的背景についても検討を進めた。こちらは2013年9月発行予定の『修験道史研究入門』(岩田書院)所収の「本山派の歴史と展開」においてその成果の一部を発表した。 これらの成果により、一六世紀初頭に新たな経済基盤の構築を目指す聖護院門跡側の動向と、檀那場の保持・拡大を図る在地山伏側の意図が結び付き本山派成立へ至ったことが明らかとなった。
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