2013 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における在本土沖縄出身者ネットワークの実証的研究
Project/Area Number |
23720327
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
戸邉 秀明 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90366998)
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Keywords | 沖縄現代史 / 移民ネットワーク / 送還 |
Research Abstract |
本研究は、日本本土占領期を中心とした在本土沖縄出身者の人的つながりと移動の動態、および彼らのアイデンティティや思想について、未解明の史実が多いことに鑑み、基礎的な史料の収集・体系化を目指したものである。 実施した3年間の間に、東京の諸機関(外務省外交史料館・法政大学沖縄文化研究所等)における関係史料の収集はもとより、数回の沖縄での調査を中心に、疎開者が集中していた南九州(熊本・鹿児島・宮崎)、佐世保引揚収容所等があり送還事業の拠点をなしていた北九州(長崎・福岡)、本州での沖縄出身者送還拠点である名古屋に、それぞれ出張調査を実施した。また史料の収集・分析と並行して1950年代の本土「留学」経験者からの聞き取りを実施した(主に沖縄で実施)。 これらの調査の結果、当該分野に関する史料の残存状況とそこから得られる知見の全体像を確認することができた。特に、①これまで全く参照された形跡がない『沖縄新報』や『沖縄学生新聞』等、1950年代前半に東京で発行されていた在本土沖縄出身者向け新聞、②宮里栄輝文書、神山政良文書の本格的調査と関連史料の抽出、の2件について、今後の関連研究を前進させるために必須の史料として、研究論文においてその意義を分析・確定させることができた。これらの分析の一端については、『沖縄文化研究』等で発表し、沖縄戦後史研究において未解明だった在本土沖縄出身者の1950年代前半の動向を解明できた。それらを足がかりにして、今後、1960年代に続く沖縄県人会の活動や「留学生」の諸団体の研究を進める前提を作ることができた。 なお、3年間に収集できた史料に関して、なお整理・分析を進めている史料や聞き取りが少なくない。これらを早急に発表して、研究の完成を期したい。
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