2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720334
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
高木 久史 安田女子大学, 文学部, 講師 (50510252)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 日本史 / 経済史 / 貨幣 / 銭 / 国産 / 16世紀 / ビタ / 考古学 |
Research Abstract |
当研究の目的は、15世紀から17世紀初頭の日本国内における銭鋳造の実態を、政策面・実態面双方から明らかにすることにより、近世初頭の銭使用秩序の統一政策までの経緯の展望を得ることにある。またその具体的な研究計画は、方法論的には、日本中近世移行期の国内鋳造銭関連の文献資料・考古資料に関する情報の検索ならびにデータベースの構築にある。また年度別計画としては、23年度に畿内・中国地方、24年度に四国・九州地方を対象とした史料調査を行う、としていた。 23年度の研究は当初予定より早く進展し、畿内・中国のみならず四国・九州北部までも対象とした資料調査を実施した。結果、データベースの構築に並行して、九州北部とくに豊後・筑後地方における国内鋳造銭の生産・流通を示唆する事実上の新出史料を検出し、銭生産上の九州の地域特性について新たな知見を得ることができた。これについては「研究発表-雑誌論文」1として23年度内に発表した。 また最新の研究状況の把握という点で、近年発表された日本中近世移行期貨幣史研究に関する著書の合評に際し、第一発表者として報告する機会を得た(「研究発表-学会発表」参照)。この著書は伊勢を主たるフィールドとするものである。この合評会における報告により、畿内と東国との境界地域における状況への認識を深めることができ、西日本における状況との比較の観点を明確に持つことができた。このことは「研究発表-雑誌論文」1・2に反映させた。 また文献史学的知見と考古学的知見の集積を総合したデータベースの構築作業を進めている。その中で、銭生産の地域差とくに都市間格差についての知見を得た。これについては24年度中に論文を発表する見込みである。・得られた知見/含意:ビタへの展望
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予想以上に資料検索が進んだ。研究目的に、政策面・実態面の分析を行う、としていたが、双方ともに有益な史料を検出することができた(「研究発表-雑誌論文」1に反映させた)。検索対象時期を15世紀後半から17世紀前半(寛永通宝発行時点)までに絞ったことが、作業を円滑ならしめた要因であると評価している。 当初この研究は西日本を主たる対象とするとしていたが、検索対象が予定よりも早く進んだため、対象地域を拡大できる見込みである。このことにより畿内と東国との境界地域から東国までを含んだ資料検索が可能になる見込みである。また「研究実績の概要」にも記したが、23年度の当研究により銭生産の地域差とくに都市間格差の問題について知見を得た。これを24年度の研究にフィードバックする所存である。 文献資料・考古資料双方から得られる情報の総合、という点では、現在データベースの構築作業を進めている。この課題に関し、24年度中に論文を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本中近世移行期の国内鋳造銭に関する文献資料・考古資料に関する情報検索を継続して実施する。また文献資料・考古資料双方の検索から得られた情報の総合を行う。24年度はとくに九州南部・畿内~東日本の史料検索を実施する予定である。 申請書にも記載したが、当該時期の国内鋳造銭につき、どこにどのような文献資料があるのかがわかっていないのが研究の現状である。その状況を打開すべく、当該問題に関し情報を提供する資料の検索を今後も進める。あわせて既知の史料(法制史料等)についても、当研究で構築したデータベースから得られる知見をフィードバックしての再解釈の可能性を探る。 また幸いにも24年に入り考古学的知見の現状の成果の概要がまとめられた(「特集 出土銭貨をめぐる最前線」『考古学ジャーナル』626、2012)。この成果を文献史学的分析にフィードバックすることにより考古学的知見と総合する作業を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料調査のための旅費と日本中世経済史関係の図書の購入を中心とする。 当研究の特徴をなすのは、各地に所在する文献資料ならびに考古資料の実見にある。これは、刊行されていない文献資料が多く、各地の史料収蔵・公開機関に赴く必要があることによる。以上のことから、調査旅費を中心に研究費を使用する計画である。また現勤務先の図書館は当該問題に関する図書が少ないため、研究費による購入により充実をはかる。
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