2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720334
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
高木 久史 安田女子大学, 文学部, 講師 (50510252)
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Keywords | 日本史 / 経済史 / 考古学 / 貨幣 |
Research Abstract |
当研究の目的は、15世紀から17世紀初頭の日本国内における銭鋳造の実態を、政策面・実態面双方から明らかにすることにより、近世初頭の銭使用秩序の統一政策までの経緯の展望を得ることにある。またその具体的な研究計画は、方法論的には、日本中近世移行期の国内鋳造銭関連の文献資料・考古資料に関する情報の検索ならびにデータベースの構築にある。また年度別計画としては、23年度に畿内・中国地方、24年度に四国・九州地方を対象とした資料調査を行う、としていた。 結果、九州北部とくに豊後・筑後地方における国内鋳造銭の生産・流通を示唆する事実上の新出史料を検出することができた(23年度に雑誌論文として発表済)。データベースの構築については、その構築した一部を雑誌論文として24年度中に発表した。加えて、16世紀後半出雲の銭使用状況を示す史料につき、先行研究で言及があるもの以外のものを多数検出した。銭の階層化と複数カテゴリの併用(基準銭以外の銭の使用を排除しない)と基準銭との比価設定に基づく通用銭使用ならびに通用銭基準銭化の傾向の近隣地域との共時性と、出雲の銭使用秩序の個性を明らかにした。このことにつき雑誌論文として24年度中に発表した。また、中世日本の主要都市の経済・貨幣(とくに銭生産)にかかる状況の比較を行う機会を得た(24年度学会発表。なお25年度中に図書1(共著)として発表予定)。加えて、畿内(とくに京都外)についてもデータベースの構築がほぼできており、25年度中にも学会発表または雑誌論文の形で成果を公開できる見込みである。総じて、この研究の当初の目的である、先行研究で言及されていない関連史料の検出に多数成功した。
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