2011 Fiscal Year Research-status Report
19-20世紀転換期における日本のアカデミズムと被差別部落認識
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23720336
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
関口 寛 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (20323909)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 被差別部落 / 部落問題 / 鳥居龍蔵 / アカデミズム |
Research Abstract |
本年度は、これまでに明らかになった成果を論文として発表するとともに、精力的に資料調査に出かけ、次年度以降に予定している発表論文の準備を行った。 まず一九世紀末から二〇世紀初頭にかけて人類学者・鳥居龍蔵が実施した日本国内の被差別部落民に対する調査を精査し、当該期の欧米の人種科学が被差別部落民に対する認識にいかなる影響を与えたかについて考察した。その内容をまとめ、「二〇世紀初頭におけるアカデミズムと部落問題認識」同志社大学人文科学研究所紀要『社会科学』第九一号を発表した。またこれに関連する人種研究の成果に対する書評として、「人種研究の深化 『人種の表象と社会的リアリティ』竹沢泰子編」京都大学人文科学研究所紀要『人文学報』第一〇〇号を発表した。 また賀川豊彦・柳田国男・海野幸徳らが二〇世紀前半に発表した被差別部落民に関する言説についても分析を進めるため、資料の収集・解析を行った。賀川豊彦については賀川豊彦記念松沢資料館において、賀川が神戸・新川において取り組んだ救貧事業に関する資料を調査した。柳田国男に関しては主として全集から一九一〇年代に発表した漂泊民論の分析を進めた。また海野幸徳については京都や東京の大学図書館、および国会図書館等において文献収集を行った。 さらにこれらの資料の解析を進め、その中間成果について京都大学人文科学研究所や世界人権問題研究資料センター主催の研究会などにおいて口頭発表を行った。次年度以後には、その内容を論文として執筆、順次公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに資料の収集・解析が進むと共に、一年目から成果物を公表しえた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、賀川豊彦、柳田国男、海野幸徳の関連資料の調査と解析を進める。またその成果を論文にまとめ、発表する。さらに、研究範囲を喜田貞吉に広げ、戦前期日本における部落問題認識を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大半の研究費を文献購入および資料調査のための旅費に充てる予定である。
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