2011 Fiscal Year Research-status Report
漢人商業地区「買売城」から見る清代モンゴルの経済構造
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23720341
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 憲行 東北大学, 東北アジア研究センター, 教育研究支援者 (50534179)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / モンゴル / 中国 |
Research Abstract |
本研究は清代モンゴルにおける交易拠点である漢人商業地区「買売城」に視点をおくことで、モンゴル人と漢人の経済関係を分析し、清代モンゴルの経済構造を明らかにすることを目的とする。平成23年度は本研究に関する先行研究の整理、問題点の抽出と共に、モンゴル国立中央公文書館にて史料調査を実施し、関連史料の分布状況の把握につとめた。今年度の調査では以下の二点に特に力点をおいた。1.ハルハ・モンゴル北部耕作地問題について:フレー弁事大臣衙門フォンド所蔵の咸豊年間以降のものについて調査・収集した。その結果、(1)19世紀後半においても同地方の耕作地では、ジェブツンダンバ・ホトクトの隷属民イフシャビ、ザサグ旗所属のモンゴル人、漢人耕作者、漢人商人らの利害関係が錯綜しており、絶えず問題が生じていたこと、(2)回民反乱以降は、同耕作地の都市や兵士への穀物供給地としての機能を、清朝側は以前にも増して重視する傾向がみられること、などが明らかとなった。2.モンゴル王公とその御用商人(トゥンシ)の経済関係について:フレー駐班処フォンド、大盛魁フォンド所蔵の関連史料について基礎調査を行った。本年度の史料調査で明らかになった課題は、いずれも買売城に関わるものであり、次年度以降も継続して調査を進める予定である。またモンゴル国立大学歴史学部のA.オユンジャルガル准教授のはからいにより、モンゴル国立大学にて、「フレーと漢人商人」という題目で講演を行い、現地の研究者と清代モンゴル史研究に関する最新の研究動向について意見の交換をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、平成23年度はモンゴル国立中央アーカイブでの史料調査を夏春の2度実施する予定であったが、東日本大震災の影響により、平成23年8~9月の1度しか実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の史料調査の際、モンゴル国立中央公文書館が、平成24年度内にウランバートル市郊外への移転計画があるとの情報を得た。現時点では移転の具体的時期は未定であるが、早ければ平成24年秋にも移転作業に入る可能性があるとのことであった。本年度は最初の史料調査は夏(8~9月)に予定しているが、実際に移転作業に入った場合、同公文書館所蔵の史料は長期間閲覧が不可能となる。よってその場合には、台湾の蒙蔵文化中心、中国北京の中国第一歴史档案館にて本研究に関わる史料調査を実施すると共に、研究計画の一部変更を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度使用額は、23年度に計画していたモンゴル国立中央公文書館での史料調査を次年度に延期することにより生じたものであり、次年度以降に実施する史料調査に必要な経費として、平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。モンゴル国立中央公文書館(同公文書館の移転状況によっては台湾の蒙蔵文化中心、中国第一歴史档案館)での史料調査経費・学会参加費などの旅費として、当初予定750,000円に平成23年度からの繰り越し分494,364円を計上する。関連書籍など物品購入費には100,000円、人件費・謝金として10,000円、公文書館入館証作成などその他経費として40,000円をそれぞれ使用する予定である。
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