2013 Fiscal Year Annual Research Report
前近代ベトナムにおける地方行政システムの解明:地方文書の古文書学的検討を通じて
Project/Area Number |
23720343
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
蓮田 隆志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20512247)
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Keywords | ベトナム |
Research Abstract |
本年度は夏期にハノイ中央直轄都市、ゲアン省・ハティン省にて調査を行った。ハノイでは長く後期黎朝の中枢に地位を占めた鄧氏関連史料(勅封・碑刻文など)を収集し、ゲアン省・ハティン省では17世紀に対日貿易に関わった宦官に関する史料(族譜、土地関連文書、碑刻文など)を収集した。これらはすでに学界に知られているものもあったが、親しく検討した結果、既発表のものには不正確な記載が少なくないことも判明した。いずれも族の盛衰について詳細なデータを提供するのみならず、権勢を持った一族が在地とどのように関わっていたのかを示す貴重な史料群である。これらを用いて「「華麗なる一族」のつくりかた ――近世ベトナムにおける族結合形成の一形態――」關尾史郎(編)『環東アジア地域の歴史と「情報」』(知泉書館、2014年3月)および「文理侯陳公補考」『東アジア ――歴史と文化』23(2014年3月)を発表した。 3年間を通して、近世の地域社会において、族(ゾンホ)と有力な族人との関係を究明することの重要性が改めて確認されたが、それは関連史料が族を媒介として現在まで伝来している事とも関連している。これらの解明には世代を跨いだ地位の(不)継承および財産相続・分配についての分析が必要となろう。 また、「旧例と憑 ――近世中部ベトナム村落の生存戦略」新潟大学人文社会・教育科学系附置環東アジア研究センター(編)『環東アジア地域における社会的結合と災害』(新潟大学人文社会・教育科学系附置環東アジア研究センター、2012年3月)。文書の形態や機能についての分析は、外交文書においても応用可能であることが判明した。
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Research Products
(7 results)