2013 Fiscal Year Annual Research Report
戦後東アジアにおける在外モンゴル人の社会形成と政治動向
Project/Area Number |
23720346
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 剛 神戸大学, その他の研究科, 研究員 (10542136)
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Keywords | モンゴル / 中華民国 / 台湾 / 国共内戦 / 戦後日本 / 留学生 / 移民 / 越境 |
Research Abstract |
本研究は、モンゴル高原や中国大陸から離れて暮らすモンゴル人を「在外モンゴル人」と位置づけ、第二次世界大戦後の東アジアにおける在外モンゴル人社会の形成過程とその維持、そして彼らの政治動向について実証的に解明することによって、戦後内モンゴルをめぐる政治空間を東アジアに広げて再検討するものである。 最終年度の平成25年度は前年度に引き続き、日本や台湾における在外モンゴル人社会の形成過程を明らかにすることを目標に、モンゴル人がいつ、いかなる契機で、どのような経路をたどって海を渡ったのか、といった問題について研究を実施した。広島や東京、台湾、カナダなどで調査を集中的に行なった結果、次の二点が明らかになった。 第一は、モンゴル人留日学生について。戦後日本に滞在したモンゴル人の多くは、日中戦争期に内モンゴルから派遣された留日学生であった。日本敗戦を疎開先の盛岡で知ったモンゴル人学生たちは、戦後の盛岡や札幌、東京で留学生や華僑の組織を設立するにあたって重要な役割を果たした。 第二は、モンゴル人の台湾移住について。台湾には現在、「蒙族籍」を持つ466名のモンゴル人が暮らしている。モンゴル人が台湾に定着する契機は、1940年代後半の国共内戦と1949年の中華人民共和国成立であった。大陸から台湾に渡ったモンゴル人は中華民国政府官僚、民意代表、軍人、学生、「反共義士」に類別できること、彼らの積極的活動によって政府組織の蒙蔵委員会や辺疆民族の関連法規が中華民国の台湾撤退後も存置されたことが明らかとなった。その研究成果の一端は、京都大学人文科学研究所研究班や長崎大学国際シンポジウムで口頭報告を行ない、研究のブラッシュアップをはかった。
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