2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代韓国の労働運動とキリスト教;1965-1970年を中心に
Project/Area Number |
23720349
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
斉藤 涼子 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (50599842)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際地域社会史研究(韓国) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、朴正煕政権期である1965年~1970年の韓国を対象に、労働運動に積極的に参与したキリスト者について分析することで、キリスト者と労働運動(労働者)との関係について実相を明らかにするものである。これを具体的に進めるため、地域をソウル市永登浦区をケースとし、ここで活動した「永登浦都市産業宣教会」を中心に推進した。特に、本研究では、今まで本格的には検討されてされてこなかった当事者たちの証言に着目し、検討することで、文献資料だけでは見えてこない「生きた」歴史に接近しょうとした。 この目的のため、研究期間内には文献資料の検討と口述資料の聞き取りを中心に推進した。初年度である平成23年度には文献資料の発掘と整理を中心に行い、未だ研究史として検討が遅れている当該テーマについて基礎的な研究整備に努めた。平成24年度以降は、更なる文献資料の発掘と整理に並行して、当事者からの聞き取り調査を進めた。聞き取りについては、個人の労働生活史にアプローチするため、多人数にアンケート調査を行う方式は採らず、1人1人と対面し、各回2~3時間の聞き取りを実施した。聞き取りは、繊維工場、カツラ工場で労組運動をした方計3人に行った。1965年~1970年の労働運動史については明らかになっていないところが多いが、労働現場の実相に接近する貴重な証言を得ることができ、キリスト者が労働運動にどのような影響を与え、どのように連帯したのかについても詳細を知ることができた。 本研究分野は、未だ蓄積が厚いとはいえないものであり、基礎的な作業として文献資料を整理したことは今後の研究の発展につながるものである。また、聞き取りは、すでに当事者が高齢に達しているため、証言を後世に残すという急務を行うことができた。これらの成果について、2012年、2015年に学会報告を行い、2015年中に博士論文を提出する見込みである。
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