2011 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半エジプトにおけるスーフィー教団とパン=イスラーム主義
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23720350
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高橋 圭 上智大学, イスラーム研究センター, 研究員 (60449080)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イスラーム / スーフィズム / タリーカ / パン=イスラーム主義 / エジプト |
Research Abstract |
本研究は、パン=イスラーム主義の展開を基軸に据えながら、20世紀前半のエジプトにおけるスーフィー教団と当時の政治社会思想・運動との関わりを実証的に解明することを目指すものである。今年度は、先行研究の網羅および一次史料の調査・収集作業に集中して取り組んだ。 まず先行研究については、本研究で具体的な事例として取り上げる「東洋連盟」と「カリフ再興団体」に加えて、パン=イスラーム主義、近代のスーフィズム・スーフィー教団、エジプト近代史(政治史、社会史)に関して、邦文・欧文の主要な研究文献の網羅的な調査・収集・読解を行った。 一次史料については、ロンドンの大英図書館と国立公文書館で調査・収集作業を行った。大英図書館では20世紀初頭にエジプトで出版された雑誌の閲覧、国立公文書館では、1910年代から20年代にかけての外交文書の調査を行ったが、特に国立公文書館での調査では期待を上回る成果を得ることができた。そこで調査者は本研究に関わる重要な文書を多数見つけ、また国立公文書館では資料の撮影が可能であったため、文書の読解よりは撮影に重点を置いて作業を行い、最終的に30点ほどの文書を入手することができた。 最後に、本研究の経過報告として、日本オリエント学会第53回大会(2011年11月於ノートルダム清心女子大学)で報告を行った。 以上、先行研究調査・一次史料収集と今年度はもっぱら基礎調査に従事したが、いずれも計画通りに実施することができ、また特にロンドンでの調査では期待以上の成果を得ることができたと言えるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、先行研究の網羅、ロンドンでの調査を中核とする一次史料の調査・収集、学会における研究経過の報告と、いずれも計画に沿った研究活動を実施することができたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、これまでの調査で取りこぼした補足史料や、研究の進展に伴って新たに参照が必要となった研究文献の調査・収集作業を行う。次に、入手した一次史料を読み込み、分析を行う。また以上の作業と並行して、適宜学会や研究会で研究経過の報告を行う。年度の後半期にはまとめの作業に入り、また研究成果の発表準備に取り掛かる。研究成果は、学会での口頭発表に加えて、学術雑誌に論文として公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画内訳は以下のとおりである。(1)遠隔地にある図書館での資料調査・収集作業や学会発表のための国内旅費(2)研究文献購入費(3)図書館での資料複写費(4)英文での研究成果発表のための英文校閲費(4)文具代等消耗品費
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