2014 Fiscal Year Annual Research Report
15・16世紀フランス王権による慣習法書編纂と王国地方統治
Project/Area Number |
23720359
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 猛 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30512769)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | フランス王権 / 慣習法 / 国王立法権 / 高等法院 / 諸侯領 / アンジュー公領 / ルネ・ダンジュー |
Outline of Annual Research Achievements |
15~16世紀に進行した慣習法の公的編纂事業に関して、昨年度以来、1463年1月におけるアンジュー公ルネの改定・編纂活動に関して史料分析を進め、最終年度である本年度はその検討結果を公表することができた。おおまかな内容は以下の通りである。 (1)ルネの下でのアンジュー慣習法の改定が、これに先立つ1454年シャルル7世王による王国全土に対する慣習法編纂命令とどのような関係にあるかは、史料的に実証することが難しい。(2)一方で、本事業に関するルネの書状では、王による編纂命令が頻繁に言及されている。これはルネが自領での編纂事業を権威づけするために王を援用したと考えられる。(3)以上(1)(2)と連関してルネの編纂目的は、民の正義の促進というレトリックを用いつつ、アンジュー公権力が地元の法の源泉であることを示そうとした。(4)事業開始の背景としては、シチリア王国をアラゴンからの奪還する軍事遠征ゆえに、アンジェを含む自領を不在にするという特殊事情が絡んでいた。(5)本事業は、慣習法を収集するよう命じられた地元弁護士が訴訟業務を失うかもしれない危惧から抵抗したために、当初は進展しなかった。(6)ルネの不在中、本事業を主導した地元のエリート・実務家の出自・職歴については、実務上のリーダーだったジャン・ブルレを中心にある程度、明らかにすることができた。 以上のうち、本研究課題の最終目的である当該期のフランス王権の地方統治の特質解明という観点のもと、主に「王権」側に視点を置いた(1)~(3)の成果を中心に研究報告2本、より「地方」に視点を置いた(4)~(6)の成果については研究発表4本(招待講演2本を含む)を行い、その他、慣習法と国王立法の関係という本研究課題の背景をなすテーマに関して、書評論文を1本発表した。
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Research Products
(7 results)