2011 Fiscal Year Research-status Report
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23720361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤崎 衛 東京大学, 人文社会系研究科, 特任研究員 (50503869)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教皇庁 / 中世 / ローマ |
Research Abstract |
初年度にあたる平成23年度は、まず関連図書を購入するなど研究環境を整備しつつ、先行研究および研究動向の調査に主に取り組んだ。その結果、近年中世教皇庁の行政組織の研究において関心が寄せられている時期は主に中世後期であり、プロソポグラフィ的な手法が取られる傾向にあることを明らかにした。 このような状況を踏まえて具体的な組織の検討を進め始めた。そして年度後半には、特に教皇庁の慈善活動を取り上げ、その実態解明に取り組んだ。そのために慈善活動に関連する二つの教皇庁付属機関、すなわち施与局と救護院の組織編成と人員体制の具体像を、叙述史料や会計簿等を調査・検証することによって浮かび上がらせた。いずれもが13世紀に組織として明確な形を取り、史料上で確認できるようになったこと、前者が独自の会計簿を管理していたこと、後者はローマにおける教皇庁の結びつきやローマ以外を移動する教皇庁との結びつきなど空間や移動という視点からそれらが担った役割をとらえることができることなどを解明した。これは論文の形にまとめたうえで学術雑誌に投稿しており、次年度に掲載されることが決定している。 3月にはG・バラクロウ『中世教皇史』の翻訳書を完成させた。これは中世の教皇権の歴史を概観した書物であり、学界および社会が本研究の成果内容を評価する際に参考になりうるものである。そのあとがきにおいては、中世の教皇権を研究するにあたり、個別の教皇の研究にとどまることなく、多種多様な部局や役人たちからなる組織として教皇権が有した歴史上の意義を解明することの重要性を説いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連資料の収集や研究動向の把握など、当初予定していた計画を確実に遂行することができた。また、その成果として本研究の課題に関する論文を作成し、査読付き学術雑誌への投稿および掲載決定を達成した。さらに、本研究の課題の背景に関連する翻訳書を完成させ、世に送り出すとともに、同訳書の「訳者あとがき」において本研究に直結する内容の研究状況の説明を行った。以上の進展状況を踏まえると、本研究は設定した目的の達成に向けて計画通り進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
教皇官房、文書局、裁判所、内赦院取り上げ、当該組織およびその下位組織の成立過程、役割、人的構成、スタッフの給養について考察を進める。国内でアクセスできないオリジナル史料、刊行史料および研究文献を閲覧するために、海外の文書館や研究機関を訪問する。上記の各組織については、少なくとも一本ずつ論文にまとめ、学会発表および学術雑誌への投稿などにより公表する。また、同時代の世俗国家における同様の機関との比較も視野に入れつつ研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、研究の遂行に必要な図書の購入や論文のコピーなど文献収集費用、学会や研究会での発表や研究打ち合わせなどの出張旅費、単純労務や論文校閲などへの謝金に主に用いるものとして計画している。 本年度は病気療養という想定外の事態に遭遇しため、当初予定していた海外への調査旅行を断念せざるを得なかった。そのため、その分の研究費は次年度の調査旅行や書籍等の購入にあて、本研究を一層充実させることにする。
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Research Products
(11 results)