2012 Fiscal Year Research-status Report
近世イングランド帰化制度の変遷とその重要性・近世的特徴
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23720367
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中川 順子 熊本大学, 文学部, 准教授 (00324731)
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Keywords | 帰化 / デニズン / 近世イングランド / 移民 / ユダヤ人 / ナショナリティ |
Research Abstract |
研究計画に従い、平成24年度は17世紀前半における帰化制度の制度史的変遷と帰化・デニゼイション取得者の実態について、「複合国家ブリテン」内の人びとを対象に含めつつ、研究を進めた。その結果、帰化制度の複層性、可変性(柔軟性)にイギリス帰化制度の禁制的特徴が明らかになった。帰化制度におけるブリテンの影響、その重要性については、さらなく研究が必要である。研究成果の一部を岩井淳編『複合国家イギリスの宗教と社会』(ミネルヴァ書房、2012年刊行)所収論文「帰化システムと複合国家」として発表した。その研究成果を一部発展させた内容を七隈史学会で学会報告した。 さらに、法的地位をめぐり当該時期の移民とホスト社会との関係に関する論文を執筆した。それについては近日刊行予定である。 第2の課題でもあり、ナショナリティと差異化の問題の重要な対象であるユダヤ人については、ロンドンの大英図書館やイギリスのナショナル・アーカイヴスで17世紀前半を中心に文献・資料調査を昨年度に引き続いて行い、読解・分析を本格的に開始した。昨年度、分析をまとめた共和世期、王政復古期の帰化・デニゼイション取得者のなかにユダヤ人が存在することが明らかになった。この成果については、次年度韓国で開催される国際学会で報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究成果の一部を論集所収論文や論集合評会、学会報告などを通じて発表し、研究会などでも研究者と意見交換を行った。 法的地位をめぐり当該時期の移民とホスト社会との関係に関する論文を執筆した。この論文が所収された書籍は次年度刊行予定である。 ユダヤ人についても、昨年に引き続いて現在可能な限りの文献・資料を収集できた。現在それらの分析を行っており、現段階での内容をまとめて学会報告する準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度なので、これまで収集してきた文献・資料の分析を引き続き行う。その内容の一部を韓国で開催される国際学会等で報告し、そこでのディスカッションを踏まえて論文等で研究成果をまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用計画に変更はない。昨年度の未使用額については国内外の研究会・学会参加旅費に充てる予定である。
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