2011 Fiscal Year Research-status Report
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23720369
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
北 美幸 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (80347674)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アメリカ史 / 公民権運動 / エスニシティ / ユダヤ人 / 黒人 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ・ユダヤ人の公民権運動への関わりを検証することで、合衆国における平等の実現が、黒人以外によっても担われていたこと、また、公民権運動が「多様」な側面を持つものであることを指摘しようとするものである。申請者はこれまで、反ユダヤ主義に苦しんだユダヤ人たちがアメリカにおいても差別撤廃運動を展開したこと、そしてその運動が他のマイノリティも含めて全ての人々の「平等」を訴えるものであったことを、専ら高等教育の分野に関してではあるが、明らかにしてきた。したがって、申請者は、ユダヤ人のこういったリベラルな思想の傾向は教育以外の分野にも該当する可能性は高いという仮説を得ている。これを本研究により分析・検証したい。本研究は、以下のように研究課題を区分した上で進める。課題(1) 社会経済的差別に対するユダヤ人の対応に関する研究課題(2) 人種隔離制度およびその廃止の徹底に向けてのユダヤ人の活動に関する研究平成23年度の本研究に関する研究としては、1.研究全体の理論枠組みを整理した論文の活字化、2.ユダヤ人の元・公民権運動活動家とのコンタクト(インタビューの承諾および当時の日記や写真の発掘)をあげることができる。2については、平成24年3月のことであるので、具体的な作業は平成24年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中の具体的な研究課題として、公民権運動に参加したユダヤ人(活動家・当時の大学生など)へのインタビューを計画している。1960年代前半、バス車内やターミナルにおける人種統合の徹底を求める運動や黒人の選挙権登録運動に参加した白人には、大学生など若者が多かったと言われているが、従来、そのエスニシティまでは明らかでなかった。平成23年度には、ニューヨーク市およびウォルサム市(マサチューセッツ州)にて、研究者より参考文献・史料等の紹介を受けることができたほか、具体的にインタビュー対象者とコンタクトを取り始めることができた。そのほかにも、世俗的ユダヤ人大学であるブランダイス大学(マサチューセッツ州)大学史編纂室に、卒業生から当時の日記や写真の寄贈があったことが明らかになり、史料使用の許諾を得た。同大学は、1948年の開学当初より黒人学生を受け入れ、「リベラルの旗手」を自任していたことから、申請者が平成19~21年に同大学大学史編纂室にて当時の学生新聞を閲覧したところ、同大学学生の参加が確認されていた。インタビューについては、コンタクトが取れたのが24年3月であるため、24年度に実施する方向であるが、研究の遂行上、大変重要な史料が発掘されたことは幸いであった。(なお、24年3月の出張旅費は、日程の都合上、24年度科研費からの支出となっている。)そのほか、アメリカ合衆国におけるユダヤ人と黒人の関係について、公民権、リベラリズムといったキーワードを絡めて、先行研究と理論の整理を行い、活字論文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度~平成25年9月末まで、本務校(北九州市立大学)を離れ、アメリカ合衆国に滞在して研究することが可能となった。授業や大学運営業務の負担がない分、実質的にエフォート率をほぼ100%まで上げることが可能である。そのため、平成24年度、25年度で研究費の配分を変更し、研究にあたりたい。特に、通常は授業期間中のために参加できない米国内での学会・研究集会への参加が期待できるため、研究者との交流および研究への助言を得ることが可能になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、当初の交付予定額は900,000円であったが、平成25年度分より300,000円を前倒しし、1,200,000円に増額したい。平成24年度は、通年、本務校(北九州市立大学)を離れ、アメリカ合衆国に滞在して研究することが可能となった。授業や大学運営業務の負担がない分、実質的にエフォート率をほぼ100%まで上げることが可能である。そのため、交付額を増額し、資料収集や学会・研究会への参加、資料収集のための旅費、通信運搬費、資料複写代、消耗品費(資料整理用文房具)、文献代等に充てたいと考えている。また、平成25年度は、交付予定額のうち300,000円を平成24年度に使用し、600,000円に減額しても研究目的を達成できると考えている。平成25年度は、4月~9月末まで、本務校(北九州市立大学)の予算でアメリカ合衆国に滞在して研究を行うことが可能となった。平成25年度に予定していた資料収集・研究の成果発表のための旅費が、日本~アメリカ合衆国間の海外旅費でなく、より安価なアメリカ国内の旅費で済むため、減額しても研究目的は十分に達成できる。
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Research Products
(4 results)