2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720373
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
加藤 玄 日本女子大学, 文学部, 准教授 (00431883)
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Keywords | エドワード1世 / ガスコーニュ / イングランド / 宮廷 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる本年度は、昨年度までの研究を踏まえ、以下の四点の成果につながる研究を行った。 第一に、先行研究のサーヴェイである。近年の欧米学界における中世の英仏関係に関する研究動向をまとめ、共著論文「帝国で読み解く中世西欧カトリック世界の構造」として学術誌『西洋史学』249号に公表した。 第二に、アキテーヌ公とその統治下のガスコーニュ地方の家臣との関係の分析である。中世における家臣のアイデンティティが主君とのコミュニケーションによって多面的に形成されることを指摘し、日韓中世史シンポジウム"Medieval Identities: Political, Social and Religious Aspects"(2013年8月22日、於慶應義塾大学)および西洋史研究会大会シンポジウム「西欧カトリック世界の帝国的構造」(2013年11月10日、於立教大学)にて口頭発表を行った。前者は"Creating Identities in the Hundred Years War: Aquitaine, Gascony and Bearn"のタイトルで韓国の学術誌『西洋中世史研究』に掲載済みで、後者は「中世後期の英仏関係とガスコーニュ」として『西洋史研究』に掲載予定である。 第三に、エドワード1世の家中と移動宮廷の分析である。前者に関しては家中で活躍したサヴォワ人の経歴を当時の政治状況の中に位置づけ、後者に関しては移動宮廷における会計記録の作成を検討した。以上の成果は、学術誌および論文集に寄稿予定である。 第四に、以上の研究を遂行する中から、新たな研究課題へと発展させうる知見を得た。具体的には、アキテーヌ公領を当時の社会的諸関係や諸制度の投影=領域として捉える視点である。今後は制度と空間の関係やその表象の変遷のプロセスを辿ることで、アキテーヌ公領の新たな性格の解明を目指したい。
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Research Products
(4 results)