2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720377
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 智則 東北大学, 埋蔵文化財調査室, 一般職員 (30400196)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 考古学 / 縄文 / 集落 |
Research Abstract |
本研究は、縄文時代を通じた居住形態の様相について検討することを目的としている。その最初の段階として、本年度には今後の研究の基礎となる遺跡データベースの作成を進めた。これまでにも遺跡データベースは作成してきたが、今回の研究では、データベース登録対象地域の範囲を更に広げている。また、新たに調査された遺跡に関する新規データの登録作業もあり、作業量は膨大となることが予想された。そのため、当初の計画通り、このような作業に慣れている研究支援者1名を雇い、青森県・岩手県・宮城県の東北地方太平洋岸における縄文時代の集落遺跡に関する発掘調査報告書の網羅的な集成を実施した。 この集成作業では、それぞれの県の教育委員会・埋蔵文化財センターなどの刊行報告書のほか、市町村の教育委員会あるいは博物館などで刊行されている報告書も対象に含めたため、その冊数は膨大なものとなった。そのため、最初の段階では集成した報告書のリスト作成を中心とした。このリスト作成時には、遺跡の概要を確認するとともに、竪穴住居跡に関する軒数数・時期などのテキストデータのほか、現有のフラットヘッドスキャナを用いて竪穴住居跡の平面・断面図などの図面類のスキャニングを実施した。また、購入したGISソフトウェアを用いて、これらの遺跡の位置情報に関する入力作業を開始し始めた段階である。本年度では、登録した遺跡発掘調査報告書は567冊、竪穴住居跡数は1245軒となった。また、スキャニングした画像は83冊分で1340ファイルとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災復旧への対応のため、資料集成ならびに資料調査などの他機関の協力が必要な集成作業が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
遺跡データベースの構築を更に推し進める。本年度には青森県・岩手県・宮城県のデータについて登録を進めてきたが、次年度では秋田県・山形県・福島県のデータについても登録を行う。さらに、竪穴住居跡の規模計測などのデータ計測を開始すると共に、今年度は土器等の遺物に関するデータも採取する。この遺物データ採取に関しては、対象遺物の所蔵機関へと赴き現地で計測する必要もある。 遺構・遺物に関する基礎研究を開始する。遺跡データベースに登録したデータを用いて、遺構とくに竪穴住居跡に関する各種データを元とした多変量解析を試みたい。また、遺物に関しては土器形状を分析対象とし、その定量的な分析から時期・地域的特徴に関して基礎的な分析を実施する。また、次年度以降の分析・考察のために、北米北西海岸狩猟採集民集落遺跡に関する資料調査を行うこととし、データベース構築に向けた資料収集を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、その大部分が旅費及び謝金等である。これは、震災による影響で、現地での資料調査が遅れてしまっていることと、適任な研究支援者の雇用が遅くなったことによる。次年度では研究支援者を年度初めより雇用し、計画している作業を全て終了させる予定である。また、現地調査についても、本年度・次年度分に計画されていた内容についてまとめて実施したい。 そのほかでは、当初より計画している「北米北西海岸狩猟採集民集落遺跡に関する資料調査」として北米先史時代関係図書ならびにその整理用のファイル類の購入するほか、竪穴住居跡分析の際に必要となる多変量解析統計ソフトウェアを購入したい。
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