2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720377
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 智則 東北大学, 埋蔵文化財調査室, 専門職員 (30400196)
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Keywords | 考古学 / 縄文 / 縄文土器 / 集落 |
Research Abstract |
本研究は、縄文時代における居住形態の様相について把握することを目的としている。平成24年度には、①遺物に関する研究、とくに土器(地域・時期的特徴の把握)に関する研究、②集落における遺構、とくに居住施設に関する研究を実施した。 遺物の研究における基礎的な作業として、土器形態の特徴を把握するために東北各地における縄文時代中期から後期に関するデータの収集を行った。これまでの国内の研究では、東北地方の中期末葉と考えられる土器型式の一部が、関東地方では後期初頭と捉えられており、広域的な比較を行う上で齟齬が生じていた。それを解消するための手段として、今年度の研究では、とくに中期末葉から後期初頭と考えられる土器型式の空間的広がりと地域性に関して検討を行った。 遺構の研究としては、これまで研究してきた成果を踏まえつつ、縄文時代中期から後期における遺跡事例の集成を進めた。縄文時代の近年の刊行された調査成果報告書は膨大な数があり、研究支援者と共にデータベース登録を進めた。その中では、中期後葉のあたりから方形の竪穴住居跡による集落遺跡も認められ、竪穴住居跡の形態から時期・地域性が把握できる可能性が高いものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は、東日本大震災の影響のため、東北各地における資料調査あるいは研究支援者の雇用がスムーズに進まなかったが、当該年度ではその分を取り戻し、さらに研究を進めることができた。ただし、海岸部における資料調査は、資料収蔵機関が震災復興関連の高台移転調査が多忙であるため進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
近年では調査事例も更に増加しており、データベースの追加登録は必要最低限の作業となる。海岸部の資料に関しては、震災被害を受けていない機関を対象として、資料調査を実施したい。これらの集成研究を踏まえた上で、前年度までの遺構・遺物研究を相互に関連付け、東北地方縄文時代における居住形態の具体的な様相について明らかにする。また、その解釈として、縄文文化を世界の狩猟採集民文化の中で位置づけ、研究の総括としたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海岸部の遺跡に関する追加の資料調査を実施するほか、当初の計画通りに研究成果をまとめるためのソフトウェアの購入、報告書印刷費と成果発表旅費として研究費を使用したい。
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