2012 Fiscal Year Research-status Report
北海道における作物産地の存続に関する農業地理学的研究
Project/Area Number |
23720398
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
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Keywords | 北海道 / 作物産地 / 農業地理学 / 農業集落地図データ / 基盤地図情報 / 春播き小麦 / 秋播き小麦 / 農業的土地利用 |
Research Abstract |
本研究は、北海道における作物産地が存続する要因を、作物産地の地域的な基盤と、産地スケールの新しい取り組みに注目して解明することを目的とする。それを達成するために当該年度では、(1)統計資料の地理情報システム(GIS)による分析、(2)フィールドワークの実施、(3)研究論文の作成と発表を実施した。まず、統計資料と地理情報システムの分析では、2011年度から引き続き、農林業センサス農業集落の統計表と基盤地図情報とを、地理情報システムで分析することにより、北海道における作物生産の動向を把握した。今年度の分析で特に注目したデータは、秋播き小麦と春播き小麦である。分析の結果、十勝平野、北見地方、石狩平野、富良野地方の4大産地が抽出された。次に、フィールドワークでは、2012年の5月に北見地方を訪れて、景観調査と土地利用調査を中心に、資料の収集を行った。また、北海道立図書館や北海道庁にて、小麦の品種や生産費の年次変化に関する資料を収集した。これらの調査の結果は、次の学術雑誌で発表することができた。「仁平尊明 2013. 北海道における小麦生産の発展. 地理学論集 87: 1-13」。その結果、北海道における小麦産地が今後も発展していくためには,北海道産小麦の商品化と地域ブランド化を進めること,海外の小麦産地の実態を考慮した補助金制度の拡充,大規模化・粗放的栽培に対応した農業機械の導入などが重要であることなどが指摘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計資料をGISで分析し、現地調査を実施し、さらに研究論文をたという点では、当初の目的をほぼ達成したと考えられる。農業集落地図データと基盤地図情報を活用した研究方法は、「橋本雄一編 2012.『GISと地理空間情報 ―ArcGIS10とダウンロードデータの活用― 増補版』古今書院.」でも発表することができた。しかし、作物産地の存続要因に考察については、小麦の産地だけの分析に留まっている。今後は、他の作物の産地に付いても、同様の分析を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続いて、空間データの分析、フィールドワークの継続、および学会等での研究発表を実施していく。特にフィールドワークでは、石狩平野を対象地域として、小麦に加えて、水稲栽培の維持基盤を考察するための調査を実施する。石狩平野は日本でも最大級の水稲の産地であり、その動向は日本の水稲生産にも大きな影響を与えると予想される。また、研究の中間報告として、日本地理学会等の学会で発表していくことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)