2013 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における作物産地の存続に関する農業地理学的研究
Project/Area Number |
23720398
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
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Keywords | 北海道 / 作物産地 / 農業地理学 / 地域区分 / 生産効率 / エネルギー効率 / 存続要因 |
Research Abstract |
本研究は、北海道における作物産地が存続する要因を、産地の地域的基盤と産地スケールでの新しい取り組みに注目して明らかにする。その方法は、地理情報システムによる空間分析と、フィールドワークによる事例地域の分析を重視する。本研究の意義・重要性は、農業の地域差という空間的な視点により、北海道の農業の特色を捉えることにある。日本における耕地面積の約4分の1を占め、日本の食料基地と言われる北海道であるが、その面積は広く、すべての地域で農業生産活動が盛んなわけではない。本研究では、1年目・2年目に取り組んだ地理情報システムによる空間分析と石狩平野におけるフィールドワークを踏まえて、最終年度には、道南地方のフィールドワークと、農業のエネルギー効率という視点による農業地域区分を試みた。道南地方のフィールドワークでは、イチゴやトマトの施設園芸および北海道内では最も古い水稲栽培に関する基礎的な情報を得た。また、農業地域区分の結果は、論文「エネルギー効率からみた北海道農業」にて公表した。その結果の概要は、農業の生産効率が高い地域より、(1)十勝・オホーツク、(2)北海道中央部(空知、石狩北部、上川、留萌)および檜山、(3)北海道西南部(胆振、後志、石狩南部、渡島)、(4)日高、(5)宗谷、釧路・根室という分布が見いだされた。農業の生産効率が高い地域においても、工業製品の導入によりエネルギー面での効率は低下している。今後の産地維持のためは、代替エネルギーの導入などにより、農業の生態学的な効率性を高めていく必要があると考えられる。
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