2012 Fiscal Year Research-status Report
東京大都市圏における主婦の生活時間にインターネットの利用が与える影響
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23720407
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
矢部 直人 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10534068)
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Keywords | 生活時間 / 主婦 / インターネット / 東京大都市圏 |
Research Abstract |
前年度に実施した東京都心部に居住する主婦を対象とした生活時間のアンケート調査結果を集計、分析した。また今年度は、東京都心部に居住する就業主婦5名を対象とした、聞き取り調査を実施した。 その結果、東京大都市圏郊外に居住する世帯と比較して、都心部では就業主婦の仕事時間が長いことが判明した。これは就業主婦がフルタイムで働く割合が高いことが関係している。就業と家事の両立に際しては、家事時間の短縮が最も重要であることも分かった。そこで、家事時間にインターネットの利用が与える影響を検討した。その結果、家事目的でインターネットを利用する就業主婦は、その他の就業主婦と比較して、家事時間の合計は変わらないものの、インターネットを利用しない家事時間については短くなる傾向があった。また、就業主婦の家事時間を短縮するその他の要因についても考察を行った。夫の家事への協力が家事時間に与える影響では、(1)朝食の用意、(2)朝食の後片付け、(3)食料品の買い物、(4)ゴミ出し、の4項目いずれかについて夫が協力すると、就業主婦の家事時間が有為に短くなる傾向が確認された。妻の両親が近隣に住むことによる家事時間への影響では、両親が近隣に住んでいても家事時間の短縮には直接的な影響は見いだせなかった。 東京都心部に居住することにより、夫婦共働き世帯では妻がフルタイムで働く割合が高く仕事時間が増加する傾向にある。その一方で夫の家事への協力が増えていることから、夫の家事時間が郊外と比べて多くなっていると推測できる。都心部に居住する世帯では、郊外に居住する世帯と比べて、夫婦間の生活時間の配分に変化が生じているといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京都心部に居住する主婦について、生活時間に関するアンケート調査、聞き取り調査を実施することができた。また、生活時間のデータの分析についても進めることができ、インターネットの影響の一端を明らかにすることができている。また、夫の協力や両親の協力など、インターネット以外の要因が主婦の生活時間に及ぼす影響についても明らかにすることができた。そのため、おおむね研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は生活時間の分析に、遺伝子配列の解析などに用いられてきた系列パターン分析手法をを応用する。この手法を用いることにより、インターネットを家事に使う主婦に特有の生活パターンや、逆にインターネットを家事に使わない主婦に特有の生活パターンなどを抽出することができる。この分析をすることで、インターネットが生活に与える影響について、さらなる考察を加えることができる。 また、東京大都市圏郊外における主婦の生活時間調査を実施する。これまで都心部の生活時間と比較するために参照した郊外の生活時間のデータは、約10年前に調査した先行研究のものであり、同時代という条件での比較とはならないためである。郊外の生活時間調査を実施し、都心部で実施した調査結果と合わせることで、東京大都市圏における生活時間の実態を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東京都心部における主婦の生活時間分析やインタビュー調査の準備・実施に時間がかかったため、東京大都市圏郊外における生活時間のアンケート調査は、今年度は実施することができなかった。そのため、次年度予算へ繰り越してアンケート調査に使用する。系列パターン分析をする際には、計算処理能力の高いパソコンが必要なため、パソコンを購入する。また、研究成果の発表(IGU京都国際地理学会議)や、調査・打ち合わせなどのために旅費を使用する。
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Research Products
(2 results)