2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720410
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小原 丈明 法政大学, 文学部, 講師 (70452258)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 土地所有 / 土地登記簿 / 庭園 / 都市名望家 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は土地所有および土地所有者に焦点を当て,明治期以降の都市空間の変遷を社会経済地理学の観点から考察することにある。本研究課題の初年度に当たる平成23年度には,当初の計画通り,既往研究の整理および基礎資料の収集・データベースの整理に従事した。具体的には,まず,基礎資料である『大阪地籍地図』と『京都地籍図』の土地所有者データの整理と地図データのスキャニング,『東京地籍図』および戦前の土地利用状況が分かる「火災保険特殊地図」の収集を行った。その上で,以下のサブテーマについて,次のような作業を行った。1.都市における庭園の所有・利用に関する研究 本サブテーマに該当する地域として,本年度は京都の近代化事業の1つである琵琶湖疏水の開削に乗じて,戦前期の郊外住宅地として開発された京都市岡崎地区(南禅寺周辺地区)を,研究対象地域に選定した。まず,京都の庭園に関する資料および当時の地図と現代の住宅地図を基に,分析対象となる93筆(区画)を抽出した。そして,それらの区画について,現地の法務局にて,土地所有に関する資料(土地登記簿謄本)を収集し,そこに記載された土地所有者の氏名・所在地や土地所有権の変遷期日・理由,土地の面積・種別などのデータを入力し,簡単な分析を行った。2.都市大土地所有者の動向に関する研究 本サブテーマについて,本年度は上記の既存の基礎資料の収集とデジタルデータ化の作業を行った。特に,大阪についてはデータの整理および予備的な分析を行い,研究対象となる大土地所有者(一族)の選定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既往研究の整理や基礎資料の収集については予定通りに進められた。そして,それぞれのサブテーマのうち,「都市における庭園の所有・利用に関する研究」については,京都における事例の選定および資料調査,分析を行えており,順調に展開できているが,もう一つのサブテーマ「都市大土地所有者の動向に関する研究」に関しては,基礎データベースの作成に時間が掛かっているため,その分析および東京・京都における研究対象の選定には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として,平成24年度においては,まず,「都市大土地所有者の動向に関する研究」における基礎データベースの作成とその分析,研究対象の選定を早急に進める。その上で,特定の事例研究(ミクロ分析)と都市レベルでのマクロ分析を並行して進めることとする。 また,「都市における庭園の所有・利用に関する研究」については,引き続き京都の事例分析を進めるとともに,東京と大阪の分析対象の選定に取り掛かる。 そして,平成23年度および24年度までに行った調査・分析の途中の成果を,平成24年の秋もしくは平成25年の春に開催される学会において発表を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
あらかじめ予定している平成24年度の研究費は当初の計画通りに使用する。平成23年度において,当初の予定よりも資料収集の調査に行くことができず,その分の旅費に未消化の分が発生した。また,収集した資料のデータ化の作業が遅れていることから,その分の学生アルバイトの謝金にも未消化分が生じた。それら平成23年度に消化できなかった分の研究費については,その年度に予定していた現地調査の費用,基礎資料のデータ化に伴う謝金として使用する。
|