2013 Fiscal Year Annual Research Report
入所競争率2倍時代の特養の整備拡充に向けた地域的条件と介護保険の持続可能性
Project/Area Number |
23720411
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
杉浦 真一郎 名城大学, 都市情報学部, 准教授 (50324059)
|
Keywords | 特別養護老人ホーム / 施設整備 / 介護基盤 / 介護保険 / 三位一体改革 / 地域格差 |
Research Abstract |
超高齢社会の現代日本において,24 時間介護の老人福祉施設(特養)への国民的期待は大きく,その供給不足は多くの入所待機者を生じさせている。一方で,施設整備をめぐる近年の制度諸環境の変化は,都道府県ごとの整備施策の裁量を拡大させた。本研究は,行政の役割,事業者や介護保険財政への影響と制度の持続可能性の点から,近年の施設整備施策の実態を明らかにすることを目的とした。特別養護老人ホームの整備に関する制度には,「H16年度まで」,「H17年度」,「H18年度以降」という区切りがある。H16年度までは国庫補助金の時代であり,H17年度は三位一体の改革による国庫補助の廃止に伴い「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」制度が導入され,補助単価が設定された。 H18年度以降は,従来の国庫補助負担金相当額について「特別の地方債」の発行ができるようになったが,都道府県分(国の半額)は廃止されたので,県によっては独自の負担をやめてH17年度の国庫分(225万円)だけを補助することにしたケースも見られた。「特別の地方債」においては,介護保険の下で入所者から居住費を徴収できるユニット部分は起債対象とされない。そのため,起債対象に関して,ユニット部分と非ユニット部分とをどのように区分するのかが問題となるが,その厳密な区分方法や定義は厚労省からも総務省からも示されていない。 特養を整備する各地方公共団体では,創設と増改築の双方を同時に検討するが,介護保険給付費の上昇抑止の観点からは,整備(供用開始)が遅いほど,地元市町村(保険者)には好都合の面も否定できない。そのため,計画期間の前半で増築分を進め,後半(とくに最終年度末頃)に創設分が多い傾向がある。また事業者側では,創設の場合,新たな職員確保が課題となる中で,近接する地域内で同時に創設が相次ぐことは望ましくなく,都道府県による調整が有効な面がある。
|