2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720413
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
山本 健太 九州国際大学, 経済学部, 准教授 (40598190)
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Keywords | 都市地理学 / 文化産業 / 産業集積 / 演劇 / 観劇者 / 消費者行動 / 文化施設 |
Research Abstract |
助成最終年度に実施した研究として,観劇者を対象としたアンケート調査が挙げられる.アンケート調査は,協力の得られた制作企業を通じて実施され,3公演計725人分の回答を得られた.これらアンケートの分析結果については,協力制作企業を通じて,対象劇団に報告した.また国内1回,海外1回の学会発表をした.本年度はまた,昨年度の研究結果と合わせて査読付き論文として,2本の論文を発表するなど,研究成果の積極的な社会還元に努めた. 本研究は,文化的生産物の一つである現代演劇,その生産の側面のみならず,流通や消費の側面から都市空間との関係を論じたものである.具体的には,東京で展開される現代演劇,とりわけ小劇場演劇に着目して,その流通,消費の空間分布から当該文化産業の大都市集積の構造と大都市の文化創造機能について明らかにした. 前年度に実施した地理情報システムによる空間分析,アンケート調査から,東京の都市空間構造と当該産業の集積構造として,主に次の成果が得られた.小劇場演劇が東京において発展し,多くの劇団が現在も東京で活動している要因の一つとして,文化施設の集積と,それを支える観劇者による公演前後のハシゴ行動が挙げられる.文化施設の集積は,下北沢,渋谷,新宿,阿佐ヶ谷といった山手線西側の地域に多い.これら近接地域を含む文化活動の集積や相互作用によって,これら地域がサブカルチャーを中心とした都市型文化創造の核心となっていた. 既存研究では,演劇をはじめとする文化的生産物と都市内部の空間構造の変化が意識的に分析されてきたわけではなく,その意味において文化産業の立地特性を都市内部構造との関連で明らかにしようとする本研究は示唆に富むものである.特に本研究によって示された研究手法および研究成果は,関連産業分野の立地特性を時系列的,空間的に把握できるという点で,当該分野の研究に資するところは大きい.
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Research Products
(4 results)