2012 Fiscal Year Research-status Report
成熟産業地域におけるイノベーション創出による地域再生:進化経済地理学の視点から
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23720414
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
外枦保 大介 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70581669)
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Keywords | 経済地理学 / 進化経済学 / 経路依存性 / イノベーション / 産学連携 |
Research Abstract |
今日、先進諸国では、成熟産業地域における地域再生として、産学官連携によるイノベーション創出が注目されている。本研究の目的は、進化経済地理学の視点から、成熟産業地域における、イノベーション創出による地域再生メカニズムを解明することである。平成24年度は、(1)方法論的枠組構築のために、進化経済地理学の理論的成果とその課題の解明を目指す「理論研究」と、(2)産学官連携によるイノベーション創出を促進・抑制させた要因を分析する「海外地域におけるフィールドワーク」を実施した。 (1)に関しては、学会誌「地理学評論」85巻1号に掲載された「進化経済地理学の発展軌道と可能性」の理論研究の成果をもとに、進化経済地理学と現代工業の立地調整との関係を考察する発表を行うとともに、論考をまとめた。 (2)に関しては、成熟した産業地域をケーススタディとして、地域再生メカニズムを明らかにするために、産学官連携によるイノベーション創出の実態解明を進めた。ルール地域などを中心にドイツにおいて調査を行った。フィールドワークの成果をとりまとめているところである。 本研究に関連して、地域イノベーションシステム構築や産学連携のあり方について、経営戦略・技術経営、社会学・心理学や産学連携の現場など複数の立場から考察する学会発表をオーガナイズドセッション形式により実施する機会があり、経済地理学の観点からセッションの一員として参加することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究、国内地域におけるフィールドワークともに、当初計画通り進展した。 理論研究では、進化経済地理学の議論動向と研究課題をふまえた学会発表を行った。 海外地域におけるフィールドワークでは、ドイツにおいて調査を行った。イノベーション創出に対する産業地域の企業、大学、地方自治体等の行動とその背景に焦点を当てて、各種調査・データ分析を行った。フィールドワークの成果は、データ・論点を取りまとめた上で、次年度以降、学会発表や論文執筆を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究では、複雑系経済学や進化生物学のほかに、比較制度分析や制度派経済学についても理解を深め、進化に関わる理論・概念の経済地理学への適用可能性を探る。また、地域における企業の組織ルーティン、レジリアンス概念を検討し、地域経済の進化メカニズムにとって遺伝子となってきたものの把握を、定性的・定量的に実施する。 フィールドワーク調査では、平成24年度の研究成果をふまえて、海外研究と国内研究を実施する。 (1)平成25年度の理論研究は、経済地理学の学説史をふまえて進化経済地理学の位置づけを行う予定である。本研究の成果は、発表を実施するとともに、学会誌掲載の原稿を執筆する計画である。 (2)平成25年度の海外研究は、欧米地域において調査を行う計画である。成熟産業地域においてイノベーション再生による地域再生が進展している地域を、文献や統計分析、種々の情報収集により入念に選択した上で、聞き取り調査を実施する。 (3)平成25年度の国内研究では、地域イノベーションシステムにとって重要な産学連携の地域特性に関わる調査・分析を進めるとともに、地域経済の進化にとって重要な企業の組織ルーティンを、企業文化や企業内物的インフラの観点から考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理論研究では、進化経済学、複雑系経済学、進化生物学、比較制度分析、制度派経済学に関する文献を購入し、進化経済地理学、地域イノベーションシステムの文献精読を精力的に進める。 フィールドワーク調査では、海外および国内調査の事前準備に必要な文献・統計データ類を購入するとともに、海外および国内調査の旅費を執行する。 これらとあわせて理論研究・フィールドワーク調査に必要なコンピュータ機材の購入も実施する。 研究の進展においては、国内外の研究者との情報収集が必要であるとともに、これまでの研究成果を発表するため、国内外の学会に積極的に参加したいと考えている。そのための学会出張旅費も執行する。
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Research Products
(2 results)