2011 Fiscal Year Research-status Report
ソロモン諸島の紛争復興と公共宗教に関する人類学的研究
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23720422
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
石森 大知 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90594804)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 紛争 / 公共宗教 / 社会関係資本 / ソロモン諸島 |
Research Abstract |
年度の初めより、文化人類学だけではなく、宗教学や宗教社会学に関する文献を広く検討し、本研究の学際的な視点の構築をおこなった。公共宗教論や市民宗教論のほか、宗教の社会貢献に関する主要文献を批判的に熟読し、とくに社会関係資本としての宗教という視点が紛争復興とソロモン諸島のキリスト教会の動向を分析するうえで重要であることが明らかとなった。というのも、ソロモン諸島のように国家機能が脆弱な場合、それを補完するという意味でも宗教(その多くはキリスト教会)が人と人をつなぐ受け皿的な役割を果たし、さまざまなプロジェクトを実施しているからである。さらに、デスクワークと並行して国内では、紛争復興と公共宗教の概念について研究協力者との研究打ち合わせや意見交換、また図書館等で資料収集をおこなった。その一方で、海外では、米国ハワイ大学にて同大学図書館に所蔵されるソロモン諸島で活動した宣教師の手記の閲覧や資料収集をおこなった。その後、ソロモン諸島のマライタ島およびガダルカナル島において約3週間のフィールドワークを実施した。ソロモン諸島では、コミュニティの基礎的情報(親族関係や生活様式の実態)を調査するとともに、コミュニティのガヴァナンス強化および紛争復興に向けての宗教アソシエーションの取り組みについて資料を収集した。ここでいう宗教アソシエーションとは、個々の宗派だけではなく、関連NGOや女性団体、さらには汎宗派的な組織を含む。これらの宗教アソシエーションにアプローチすることで、ソロモン諸島の紛争復興と公共宗教についての概要が少しずつ明らかとなってきたが、今後、さらに調査・研究を重ねていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」の通り米国ハワイ大学およびソロモン諸島において資料の収集を実施するとともに、資料の質・量ともにほぼ当初の計画に沿う形で取得できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の調査において収集した資料を整理、考察することからはじめる。そして引き続いてソロモン諸島にてフィールドワークを実施することで、さらに緻密な資料の収集をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の資料を整理および管理するために必要となる物品の購入のほか、ソロモン諸島でのフィールドワークに必要な旅費を使用する予定である。
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