2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
郭 舜 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30431802)
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Keywords | 国際法 / グローバル化 / 公共性 / 法の正統性 / 行政 / 国際法哲学 / 国連 |
Research Abstract |
本年度は、「グローバルな行政」がどのような法構造によって実現されているか、国際法と国内法の複合的な関係を明らかにするとともに、それが地球規模の統一的な行為規律を志向することによって生ずる国内法過程に対する影響を、国内の民主主義や法の支配の観点から分析する作業を行った。また、これと同時に、武力行使分野においても、行政的な「管理」の観点から国連による平和と安全の維持を論ずることの有効性を明らかにし、その規範的根拠となる公共性の概念についてのさらなる理論的解明に取り組んだ。 以上の研究成果の一部は、論文「国際法の正統性に関する予備的考察」(『法の理論』31号)および口頭報告「国境を超える正義と国際法」(日本法哲学会年次大会統一テーマ報告)・「国際法は正統か?―問題の一般法理論的意義とその序論的考察」(東京法哲学研究会7月例会報告)として発表済みであり、また開催責任者・コメンテーターとなったワークショップ「国際法哲学の可能性ー国際法学との対話」(日本法哲学会年次大会公募ワークショップ)において法哲学・国際法学の研究者と問題関心の共有を図り、意見交換を行った。 本年度の研究成果は、グローバルな行政の制度的側面について個別分野に即した検討を行い、またそれを支える価値理念についてを明らかにすることによって、その規範構造とそれが抱える課題を明らかにするものであった。次年度は、それを踏まえて、さらに理論モデルの検証・応用を進め、最終的な完成を目指すことができる見込みである。同時に、本年度の成果は、グローバルな行政を手続的・実体的に統御し、地球規模における正統性の確保の問題に踏み込むための足がかりを提供するという点において重要な意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度に行った現象把握の作業を前提として、すでに着手したグローバルな行政に関する理論化の作業を継続して進め、さらに学会・研究会の場で発表することによりフィードバックを得て、理論の完成度を高めることを目的とした。積極的な応募等の結果、多くの口頭発表・論文掲載の機会を得ることができ、関連分野の他の研究者から貴重な意見を得ることができた。その成果を取り込むことにより、理論の精度を高めることが期待される。具体的には以下の通りである。 国際法と国内法の複合的・対話的な関係についてその規範構造を明らかにし、また統治の正統性の観点からその制約原理を導く糸口を見出すことができた。国際法・国内法の関係についてのグローバルな法状況に即した理論を、グローバルな多元的法秩序・立憲的法秩序に関する議論と関連付けながら構築するための基礎的な作業がほぼ完了している。その一部は、上に挙げた論文「国際法の正統性に関する予備的考察」、口頭報告「国際法は正統か?―問題の一般法理論的意義とその序論的考察」、ワークショップ「国際法哲学の可能性ー国際法学との対話」において公表している。 グローバルな行政の根拠となる公共性の概念について法哲学的な分析を深め、正義概念との関連においてその定式化を行うとともに、国内社会とは対照的に分権的な性格を有するグローバルな社会において、それが具体的にどのような意義を有し、どのような制約原理を導くか、制度的な観点からモデル化を図った。その一部は、口頭報告「国境を超える正義と国際法」として公表した。 最新の研究動向の把握に努めており、資料収集および関連分野の研究者との意見交換等も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究課題の最終年度であるため、最終的な成果の発表に向けた仕上げの作業を行う。そのために、グローバルな行政について、これまで行ってきたモデル構築、モデルの含意の導出、モデルの検証・応用の作業を総合し、その射程を明らかにしつつ理論化をさらに進める。とりわけ、グローバルな行政の骨格となるグローバルな法体制の正統性問題にも踏み込んで検討する予定である。 最終的な成果の発表媒体として、単著の刊行を予定している。そのための出版社等との打合せを行う。また、単著の刊行が困難である場合には、代替案として『北大法学論集』への成果の全部または一部の掲載を予定している。また、7月にブラジル・ベロオリゾンチにて予定されている法哲学・法社会学国際学会連合(IVR)の世界大会において、一部の成果を発表する。すでにワーキング・グループへの応募が受理されており、報告が決定している。 主な成果発表の機会としては上記2点に狙いを定めるが、これに加えて学会・研究会の場を利用した最新の研究動向の把握や意見交換にも努める。また、すでに公刊が決定している研究成果(論文)が数本あるほか、海外の著名な欧文雑誌に投稿することも視野に入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費はほぼ計画通りに支出したが、一部の物品の納入が年度内に間に合わないことが判明したため、次年度において支出することとした。 来年度の主な支出としては、上記IVR世界大会への参加・発表、および学会・研究会参加、出版の打合せにかかる旅費(年3回程度)を予定している。また、引き続き文献・資料の収集が必要であり、その購入費に充てる。また、英文雑誌への投稿を行う場合には、英文校閲のための費用の支出が必要である。
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Research Products
(4 results)