2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
見平 典 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (90378513)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 違憲審査制 / 司法積極主義 / 最高裁判所 / 司法政治 / 基礎法学 / 公法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き、違憲審査制の運用を規定する要因の中でも、特に規範的資源に着目し、それをめぐる日本の最高裁判所とアメリカ連邦最高裁判所の現況について考察を行った。特に、日本では憲法裁判に必要な民主的正統性・開放性が希薄であることを踏まえ、アメリカ連邦最高裁判所が専門的正統性と両立する形で、いかにそれらの正統性資源を調達しているかについて検討を加えるとともに、そのようなアメリカの憲法秩序形成のあり方の規範的含意についても考察を加えた。そして、その成果の一部を発表した。(見平典「憲法学と司法政治学の対話――違憲審査制と憲法秩序の形成のあり方をめぐって」法律時報1075号93頁(2014年)。また、本論文を基礎とした対談として、見平典・宍戸常寿・曽我部真裕・山本龍彦「憲法学と司法政治学の対話(前篇)・(後篇)」法律時報1076号102頁、1077号104頁(2014年))。
また、1990年度末以降の日本の最高裁判所による違憲審査制の運用の変化の背景についても、当時の最高裁判所裁判官の法思想に注目しつつ検討を進めた。
このように、本研究では、研究期間全体を通して、日米の違憲審査制の運用を規定している要因について、両国の具体的文脈に照らしつつ、重要な部分に光を当てることができた。それは、違憲審査制の活性化が課題とされている日本において、政策論的にも意義を有するであろう。今後は、本研究では十分に光を当てることができなかった要因についてさらに分析を加えるとともに、分析対象の時代区分を広げて、考察を深めていきたい。
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