2014 Fiscal Year Annual Research Report
前近代日本における成文法主義の諸前提─「継受」された律系法典と社会慣習の規範化─
Project/Area Number |
23730013
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
和仁 かや 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (90511808)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 法制史 / 日本史 / 琉球史 / 法継受 / 国学 / 国際情報交換 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度にあたる本年度は、本計画を綜合的にまとめるに当たって、これまで積み残した作業に傾注することを心がけた。 まず第一には、昨年度に引き続き、江戸考証学と西洋近代法学(並びに周辺諸分野)に関する文献収集並びにその分析を通じて、両者の具体的な関係を詰め、もって本研究の理論的基礎をより確固たるものとする作業を進展させた。江戸考証学については、江戸時代当時の史料に留まらず、その明らかな、もしくは明らかとまでは言えないにしても通奏低音的な蓄積の上で明治時代以降に作成されたと思しき江戸時代の実務記録についても含め、また西洋近代法学については、これまた昨年に引き続き19世紀ドイツを中心としてさらに踏み込んだ分析と資料収集を行った。また外国語で発信するための準備作業も継続した。 第二には、本研究の土台をなす江戸の法実務自体を見直し、同時にそれを発信するための準備作業を行った。現在の江戸の法実務に関する知見は近代以降に収集された史料や知識の蓄積に依るところが多いが、本研究のような近代・前近代の架橋それ自体を分析対象とする場合は、このバイアスについて細心の注意を払う必要がある。従って、かかる史料を多く所蔵する東京大学法学部法制史資料室の所蔵資料を今一度精査し、合わせてそれと密接に関係する史料を多く残す九州大学所蔵近世史料について、詳細に調査・分析、及び関連づけ作業を行い、如何なる史料がどのように残されたか、といった史料の残存状況について、幾つかの重要な見通しを得ることができた。またその中の重要なものの数点については、研究補助者の協力も得てWebコンテンツとして利用するための電子データを作成し、一部を公開した。 いずれの作業についても、昨年度に決定した代表者の転籍に伴う諸手続や他の業務との関係から年度中の完成及び最終的な公開には至らなかったが、近々成果としての公表を目指している。
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