2013 Fiscal Year Annual Research Report
憲法学におけるデモクラシー観念の変容とその理論的背景
Project/Area Number |
23730017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 知更 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30292816)
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Keywords | 憲法 / 民主政 / ドイツ |
Research Abstract |
研究の最終年度にあたる平成25年度は、従来の研究を継続・深化させつつ、その成果を順次公表することに精力を費やした。また、夏に2ヶ月間、ドイツ・ミュンヘン大学に滞在し、旧知の研究者からも様々な知的刺激を受け、当地の資料をも用いつつ本研究の主要な成果となる論文を執筆した。以下、本年度の内容の内容を説明する。第一に、戦後ドイツ憲法学における民主政論の展開とその意義について、最終的にErnst-Wolfgang Boeckenfoerdeの民主政原理に関する理論に焦点を当てて叙述する方針を決め、夏に論文「憲法原理としての民主政―ドイツにおける発展を手がかりに」を執筆し、公表した。戦後ドイツ民主政論における最重要の議論を分析対象としたものであり、この中に本研究期間を通じて得られた様々な洞察が盛り込まれている。第二に、EU・連邦制・地方自治といった多層的秩序との関連で民主政の問題を考える前年度までの研究を継続した。そこで得られた知見の一部は、小論「憲法における自治と連邦」で公表されている。第三に、議院内閣制と政党という具体的テーマとの関連で民主政の問題に関する検討を更に進めた。そこで得られた知見は、論文「政党法制―または政治的法の諸原理について」で公表され、また日本の現実政治との接点とも関わる形で、書評論文「文献ジャンルとしての憲政評論―高見勝利『政治の混迷と憲法―政権交代を読む』(岩波書店、2012年)を読んで」でも発展され、また既発表論文「議院内閣制―法と政治の間で」が単行本に収録されるに際しての加筆作業の中にも反映されている。
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Research Products
(5 results)