2013 Fiscal Year Annual Research Report
処分性拡大論の理論的インパクト:紛争の成熟性・行為形式論・違法性の承継
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23730021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
興津 征雄 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10403213)
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Keywords | 公法学 / 行政法 / 行政訴訟 |
Research Abstract |
今年度は,従前の研究を大きく発展させ,(1)英語により成果を発表するとともに,(2)行政活動の国際化・グローバル化に対応する理論的枠組みの模索を開始し,その橋頭保となるべき論文を執筆した。これにより,本研究課題が対象とする手続法・訴訟法の領域も,国際的なハーモナイゼイションの圧力から無縁でいられないことが判明し,日本の行政法に特有の制度および理論を国際的な文脈から吟味し直す必要を認識することができた。 また,(3)取消判決の効力についてこれまでの研究成果を総括する原稿の執筆の機会を得るとともに,(4)その過程で従来取消判決の効力に関連して説明されることの多かった不整合処分の取消義務や原状回復義務などについても考察を進めるとともに,これまで自分の中で確定した見解に至らなかった取消判決の拘束力の性質についても,一定の結論を得ることができた。すなわち,行政庁は拘束力を生じた裁判所の認定判断を前提として新たな認定判断を行わなければならない義務を負うのが行政事件訴訟法33条の趣旨であり(最判平成4・4・28民集46巻4号245頁参照),その正当化は,取消訴訟においては,取消判決を受けて行政庁が事案に関する判断をやり直すということが制度上予定されているため,上訴制度の趣旨と同じように,裁判所がいったん判断を示した争点についてはその判断を最終的なものとして,それ以後当該事案に携わる裁判所と行政庁に対して蒸し返しを封ずることが制度の趣旨に照らして合理的だからという点に求められる。なお,(3)(4)の成果については,原稿はすでに脱稿済みであるが,公表は平成26年度中になる見込みである。
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