2011 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ連邦最高裁判例に見られる公教育に関する憲法法理の歴史研究
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23730027
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中川 律 宮崎大学, 教育文化学部, 講師 (60536928)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 公法学 / 比較憲法 / アメリカ憲法 / 教育法 / 公教育 |
Research Abstract |
平成23年度には、本研究の第1の柱であるアメリカ合衆国の公教育に関する連邦最高裁の憲法法理に対して、公教育制度の確立の歴史的展開過程がどのような影響を与えたのかについての資料収集、分析、学会・研究会への参加による情報収集・意見交換を主に行った。すなわち、上記研究の遂行に不可欠なおよそアメリカ合衆国の建国期から1920年代までの公教育に関する制度史、思想史、運動史などに関する資料、および同時期の憲法法理に関わる裁判例、憲法史に関する学術論文、当時の教科書などの資料を収集した。本研究の第1の柱に関する資料として必要なものはおおよそ揃ってきたところである。 また同時進行で進めていた上記資料の分析の結果としては、公教育史に関するおよそ一般的な時期区分(未発達期、萌芽期、発展期、定着期)のそれぞれの時期において、公教育の根本的な目的である民主主義社会の公民育成という価値観をめぐってそれを政府が公教育を通じて積極的に推進すべきだという勢力と、それに反対する勢力とが存在し、公教育制度の発達も決して直線的なものでなく、紆余曲折を経た諸勢力の妥協の産物として成り立ってきたという仮説を実証することが可能であることがわかった。ある種妥協的な1920年代の公教育に関する憲法法理も、これらの公教育制度の歴史的展開過程にどの程度影響を受けたものと言いうるかを現在のところ分析中である。 さらに、平成23年度中にも、第2の柱である1920年代以降の公教育に関する憲法法理の憲法史上の位置づけ関する資料も基礎的な二次文献を中心に収集を進めた。 その他、関連の学会・研究会に広く参加し、本研究に関わるさまざまな情報、意見などを見聞きできたことが有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に示したとおり、当初の研究計画どおり、本研究の第1の柱であるアメリカ合衆国の1920年代までの公教育に関する憲法法理と公教育史の関係についての資料収集がおおむね終了し、資料の分析を進めることができている。平成24年度以降の第1の柱に関する論文執筆に取り掛かる基礎作業として順調に進展したと思われる。 また、第2の柱である1920年代以降の公教育に関する憲法法理の憲法史の側面からの研究に関しても、基礎的な文献の取集に努めることができ、平成24年度以降の本格的な資料収集・分析の準備が整いつつある。 以上により、当初の研究計画どおり、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、本研究の第1の柱であるアメリカ合衆国の1920年代までの公教育に関する憲法法理と公教育史についての資料の分析を進め、論文の執筆に取り掛かる。第1の柱の研究に関しては、追加の資料収集も行いつつ、平成24年度中に論文を執筆し、研究成果を発表するように努める。研究論文の執筆が平成24年度中に終了しない場合にも、平成25年度には発表できるように、十分な準備を行っておく。 また、平成24年度には同時に、本研究の第2の柱である1920年代以降の公教育に関する憲法法理の憲法史の側面からの研究に関しても、資料の収集を進め、本格的な分析に取り掛かっておく。平成25年度には、第2の柱の研究に関する論文執筆に取り掛かるようにする。 その他、平成24年度、25年度を通じて、本研究に関連する学会・研究会等に積極的に参加し、情報収集、他の研究者との意見交換などを行う。 資料取集に関しては、所属大学や県内の大学では資料が十分でないため、年に数回、首都圏の大学に資料収集のための出張を行うことで対応する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に関しては、主に以下のように研究費の使用を計画している。 (1)本研究の第1の柱と第2の柱に関する資料としての図書、論文などの物品の購入。 (2)本研究の第1の柱と第2の柱に関する資料収集のための国内出張のための旅費。 (3)本研究に関連する学会、研究会、研究打ち合わせなどのための国内出張のための旅費。 その他、文具などの消耗品の購入費、および研究協力者への資料収集に関する謝礼などにも研究費を使用する可能性がある。また、平成23年度に申請した研究費のうち、およそ6万3千円ほどを平成24年度に繰り越しているが、これは主に平成23年度に購入予定で図書の入荷が遅れたためであり、平成24年度に使用予定の図書費と合わせて使用する予定である。
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