2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730039
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤澤 尚江 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (60533750)
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Keywords | 国際私法 / 動産担保 / オーストラリア / ニュージーランド / カナダ |
Research Abstract |
オーストラリアの2009年動産担保法(PPSA2009)は、米国の改正前統一商事法典(UCC)、カナダサスカチュワン州の動産担保法、改正後UCC、ニュージーランドの動産担保法、そして国連商取引法委員会の立法ガイドを参考に制定された。以上の法またはルールの抵触規則をそれぞれ概観し、PPSA2009と比較したところ、これらにほぼ共通点している点は、第一に、物品に関しては、原則は担保目的物の所在地法に服させ、第二に、債権等の無体財産に関しては、債務者の所在地法に服させる点、第三に、複数の地で用いられる物品に関しても、債務者の所在地法に服させる点、第四に、移動中または移動を予定している物品に関して、仕向地法の適用を認める点、第五に、猶予期間を設けている点であることがわかった。他方で、相違点としては、第一に、PPSA2009が、原則として、債務者がオーストラリアの事業体であり、担保権設定契約で明示の選択をする場合には、オーストラリア連邦法の適用を認めた点、第二に、選択される法に実質法に限らず抵触規則も含む点、第三に、債務者の所在地の例外に関する点、第四に、債務者の所在地を債務者が設立した地とする点があげられる。 これらの共通点、相違点につき、PPSA2009がこれらのルールを選択した理由は、次のとおりである。上述の共通点および相違点は、担保物の所在地法の適用が原則であるということを前提とし、それを補完するために作られたルールと、当事者自治により債務者の所在地法を適用することを原則としたルールとに分類される。PPSA2009は、担保物の所在地法を原則として適用するというルールと、債務者の所在地法を原則として適用するというルールとのメリットおよびデメリットから両者を併存させ、いずれを適用するかは担保権設定契約の当事者に任せたのである。
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