2013 Fiscal Year Research-status Report
WTO紛争処理における履行確保に向けた課題-利害関係者の視点から-
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23730045
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯野 文 日本大学, 商学部, 准教授 (00521288)
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Keywords | WTO紛争処理 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度に引き続き、非貿易的関心事項(食品安全や環境保護)分野において、どのような状況下で貿易紛争が生じているのか、また紛争が生じた場合にWTO協定上どのような規律上の限界があるのか等について検討を行った。また、過去の環境保護関連の貿易紛争の検討も平成24年度から継続しており、貿易ルール(特に、GATT、SPS協定、TBT協定)上、どのような問題が論点となり得るのか検討を進めた。非貿易的関心事項の分野では、履行確保が遅れる紛争案件が過去に見られていることから、これらの分析結果からは貿易紛争の特性を検討する上で貴重な示唆が得られた。 一方、こうした分野特定的な検討を進めた結果、紛争が発生する背景(紛争発生のメカニズム)及び各種の紛争処理手続に関するより基礎的な調査・分析の必要性も感じるところとなった。 研究実施計画によれば、平成23~25年度にWTO紛争の類型化を行いつつ、紛争の事例研究を行うこととなっている。しかし、上述の通り、基礎的な別の視点からの検討の必要が生じため、その部分の研究を行う観点からも、事業期間の延長を申請し、承認されたところである。そこで、平成26年度は、当該研究に関する基礎的な調査を更に深めることとし、その過程で更なる文献収集と分析を行うと同時に、必要に応じて経済紛争処理手続を有する関係国際機関又は関係者にヒアリングを行うことを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」で示した通り、これまでに行った研究成果は、貿易紛争の特性を検討する上で貴重な示唆を提供するものではあるものの、研究を進めるうちに、各種の紛争発生の背景や紛争処理手続に関するより基礎的な調査・研究を行う必要性が生じた。そこで、当初の研究計画から比べると、やや遅れているとの区分に該当すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を念頭に置きながら、各種の紛争発生の背景及び紛争処理手続に関するより基礎的な調査・研究を進めることとしたい。同時に、WTO紛争の全般的な類型化を試みる。この過程で更なる文献収集と分析を行うと同時に、必要に応じて経済紛争処理手続を有する関係国際機関又は関係者にヒアリングを行うことを検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
紛争が発生する背景(紛争発生のメカニズム)及び各種の紛争処理手続に関するより基礎的な調査・分析の必要性が生じ、その部分の研究を進めるためである。そこで本来ヒアリングに用いる予定であった費用を次年度に繰り越している。 紛争が発生する背景(紛争発生のメカニズム)及び各種の紛争処理手続に関し、更なる文献収集と分析を行うと同時に、必要に応じて経済紛争処理手続を有する関係国際機関又は関係者にヒアリングを行うことを検討している。
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