2016 Fiscal Year Annual Research Report
Challenges in implementing WTO Disputer Settlement Results
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23730045
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯野 文 日本大学, 商学部, 准教授 (00521288)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | WTO / 紛争処理 / TPP協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成24~26年度を通じて行った検討に基づいて必要となった基礎的な調査・分析について引き続き考察を試みた。具体的には、昨今の外部環境変化に伴って成立した各種の紛争処理手続に関する検討である。特に、平成26~27年に合意に達し公表された環太平洋パートナーシップ(TPP: Trans-Pacific Partnership)協定は参加国の多さやルールの「深さ」、カバー範囲の広さでも突出しており、WTO紛争処理との関連も大きいことが想定されるため、主に同協定に焦点を当てた。 また、平成28年度に実施した現地調査では、WTO紛争処理手続をめぐる近年の課題(例えば、従来存在していた同手続の外交的側面よりも司法的側面が強調されつつあること、言い換えれば当該手続に内在する政治的境界とも表現し得るような限界が現れる局面が見られること)を把握することができた。 当面の成果の一部として公表した論文(飯野文「今後の貿易・投資協定に対するTPP協定の含意:分野横断的観点から」『商学集志』第86巻第4号、2017年、207-229頁)においては、TPPの紛争処理手続の特徴と、WTO紛争処理手続との関係性について指摘しているとともに、上記の限界についても触れている。また、平成24~25年度には基礎的な調査・分析の一環としてWTO紛争処理手続の課題についても検討を行ったが、上記論文では、当該検討を通じて得られた視点(透明性・包摂性確保の必要性など)からの分析も含まれている。
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Research Products
(1 results)