2011 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける国際私法の新たな展開と調和の可能性に関する研究
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23730048
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
黄 ジンテイ 帝塚山大学, 法学部, 准教授 (50372636)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 東アジア / 国際私法 / 調和 |
Research Abstract |
東アジア地域(日本、中国、韓国、台湾)における国際私法の改正を考察し、それぞれの国・地域の国際私法の特徴を解明、分析することを通じて、東アジアにおける国際私法調和の可能性を探求し、具体的な提案を示すという本研究の目的に向けて、平成23年度は当初の研究計画どおりに、上記各国・地域の国際私法に関する調査等を行った。 具体的には、日本の国際私法に関する資料調査を継続的に行う一方、中国、韓国と台湾に関して、現地の研究者と実務家の協力を得ながら、現地調査、文献の収集、専門家との意見交換を通じて、資料収集を行った。こうした調査結果を分析し、その成果として、まず、中国の新しい国際私法を全文訳出したうえ、新法を概観して、法改正の要点を解説し、新法の全体的な特徴とそれに対する評価をまとめた論文を発表した(帝塚山法学22号、「中国の新しい国際私法について」)。また、国内の研究会にて、日本法との比較および実務への影響も踏まえて、中国国際私法の家族法部分を考察する報告を行った(関西国際私法研究会、「中国国際私法(家族法)に関する一考察」)。さらに、日中韓の国際私法を議論することを目的とする国際共同研究会において、日本の国際私法(債権部分)について英文報告を行った(日中韓共同研究会「東アジアにおける国際私法」、"Obligations in Japanese Private International Law")。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が対象とする日本、中国、韓国、台湾における国際私法について、それぞれに対する資料調査が当初の研究計画どおりに進んでおり、基本文献を入手している。また、調査結果に対する分析に関しても、論文の公表と研究会報告を通じて、中国国際私法について全体に対する概観と家族法部分を中心とした詳細な考察がほぼ完了している。さらに、上述の日中韓共同研究会への参加を通じて、自分が担当する日本国際私法の債権部分に対する知見を深めただけでなく、他の参加者の報告、全体での議論を通じて、中韓の国際私法の細部にわたる理解を高めることができた。次年度の研究計画を遂行する土台を築くことができたばかりでなく、研究の最終目的を達成するための手掛かりを得ることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの調査成果の分析を進め、海外研究協力者の助力を得て資料調査を継続して行う。そして、実務上重要で、日本法との比較という観点からみても相違点の多い中国国際私法の条文解釈を明らかにし、その特徴解明に重点を置く予定である。このように、日中国際私法の比較を通じて、両国法の重要な相違点を把握し、韓国、台湾の国際私法にも目配りして、東アジア地域における国際私法調和を実現するうえでの課題を析出する。 研究の最終年度においては、必要に応じて追加的な資料調査を行いながら、東アジア地域における国際私法調和を実現するうえでの課題を解決する具体策を検討し、研究協力者と意見交換をしながら、提案をまとめる。その成果を、国内外の学会等で発表し、そこで得た意見をもとに、最終成果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、文献研究のために国際私法関係図書一式を購入するための費用、資料処理のためのパソコンソフト・パソコン付属品、文房具類を購入するための費用を計上している。 旅費として、国内外で資料調査、意見交換、成果発表を行うための費用を計上している。 謝金として、資料整理等のためにアルバイトを雇用するための費用を計上している。
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